第1話~10話までの短縮版 →砂漠の旅①に続く (挿絵あり)
俺は今トンネルを歩いている。
何故トンネルを歩いているか?
俺にもよく分からねぇ
変な扉を潜り、階段を下りた先がこうなっていただけだ。
しかも俺以外の三人の奴らと一緒に――な。
今、俺の後ろに歩いている男二人と女一人。
確か名前がゆいとアロー(あだ名らしい)それから、こうへいだっけか?
―――――
――――遡ること一時間前、大学に通っていた俺は生意気な正義面したイケメン野郎と喧嘩になった。
俺はこっぴどくやられ気絶した。
すぐに誰かに運ばれて保健室で寝ていると、突如… 学校に化け物が出現した。
まだ陽が出ているはずなのに外は暗闇に覆われている。
嘘なような話だが出現した化け物は、学校にいる学生達を次々に殺していった。
「一体何が起こっているんだ?」
―――クソが。直ぐここから逃げねぇと。
俺は直ぐに保健室から出て校外へ逃げようとしたが、学校の境界線上に何らかの力が働き、中に閉じ込められていた。
「は!? これは… これじゃあいつら(化け物)に殺されるしかねぇってことか?! ふざけるな!!」
俺は他に方法がないか校内へ戻る。
後ろを振り返ると出口であたふたしていた連中は新たに出現した化け物によって無残に体を引きちぎられ殺されていく。
「なんなんだ!? あの化け物どもは…… 次から次へと増えていきやがる」
―――そこからは化け物達が校内中を走り周り、まるで掃除機をかけるかのように学生達は引き殺されていった。
俺はそんな学生達を見て吐き気を催し心が折れそうになったが、こんなところで死にたくはない。
―――こんなのは人の死に方じゃねぇ――――
この地獄から出るために出口を探し回っていると、誰かの声が聞こえた。
―――『上を見ろ』―――
頭の中に問いかけてくるような声に反応し空を見上げると数字が空に浮かび上がっていた。
「なんだ? この声は… あの数字…は一体?」
【Ⅲ=8】
【2=壱五】
【壱=七】
と浮かびあがる数字。
また続けて声が頭の中に響く。
――『あれは出口だ。東が壱。2が南。Ⅲが西門に赤黒く輝く扉が出現している。急いで逃げてくれ――』―――
辺りにいる学生達も声に導かれるように出口の扉を目指す。
「よく分からねぇがあれにかけるしかねぇな」
俺も今いる場所から一番近い東出口に向かった。
だが扉の周辺には化け物達が何匹も現れる。
―――「クソがぁ、こんなところで…… 死んでたまるかよ!!!!」―――
化け物達が襲い来る中、人を盾にして交わし、時には囮にもした。
生きるのに必死で無我夢中だった。
他の学生達が死んでいく中俺は、扉の前に到着する。
「はぁはぁ… 助かったのか」
扉に手をかけ助かったと思った。
「――――ッ!!」
―――油断した。
その一瞬が命取りになった。
もう一体、化け物が扉の近くに出現し俺目掛けて腕を伸ばしていた。
―――あぁ―――死ぬの―――か……
化け物の手が俺の胸を貫く寸前、俺は助けられた。
俺が公然の面前でボコボコにのされたイケメンに、だ。
「おまえ……」
そいつは俺に『任せた』と言い自分は死傷を負いながらも俺を扉の中へ押し込めた。
俺が押し込められた後に、そいつの友達らしき三人が入ってきた。
それがゆいとアロー、こうへいだ。
俺のせいで友人が死んでしまったこいつらは、俺を目の仇にしやがる。
特にゆいとかいう女。
俺の予想だが、好きな男だったんだろうな。
「分かりやすいなお前」
「え? なに?」
ニコッと明るく振舞う女だが俺のことを恨んでいるのは直ぐに分かった。
とぼけてるフリを貫くならそれでも構わねぇけどな。
俺達はどこまで続くか分かんねぇトンネルを三時間程歩くと出口の扉が見えてきた。
「やっと出口か… これで助かるのか」
だが扉を開けるとそこは砂漠が広がり熱気が半端なかった。
このまま無防備に砂漠に出るのは危険だと思った俺達は夜になるのを待った。
時間が過ぎる間、辺りに何かないか探していると支柱の裏に武器や食料が設置してあった。
――食料はせいぜい三日分だな。
「後は武器だが……」
俺は武器の中からハンドガンのような銃を手に取った。
銃の細かい名前や種類とか全然わからねぇが、何故かこれが気になった。
そして丁寧に梱包されているカードが複数枚あった。
中には説明書が入っており、説明の内容記述がされていた。
このカードの内容は、カードに指紋を登録すると名が登録され異世界間での名前の違和感を無くし、言語も音声振動を自動で相手に合わせて変換し翻訳されるという優れものらしい。
早速、この場にいる全員が登録し新たに名前が与えられた。
―――――俺の名はカルナ――――
この場所から必ず生きて元の世界に帰る。