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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
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第1-16話 砂漠の旅 ⑥

砂の中から姿を現したのは、巨大な大ムカデだ。

目の前一面、ムカデの体。

実際ここまで巨大な生き物は空想の世界だけだと思っていた。


動物園にいくと動物の迫力を、車やバスから柵越しに生で見て感じることが出来るコーナーやアトラクションがあるが、それはただの安全なところからの守られた体験にすぎない。


四人はまだ大ムカデとは距離があるのに、実際の目の前にいる生物は高層ビルの入り口から上を眺めた時に感じる圧迫感と、それが襲い来るという恐怖を四人は感じていた。


――KOKIKOKIKOKIKOKIKOKIKOKIKOKIKOKIと変な音を鳴らしながら無数の手がうごきだす。


人がムカデを見た時どんな気持ちになるだろう。

一般の人が見れば嫌悪感に襲われるはずだ。


だが違う。


よく見るとムカデの手とは別に人の手が無数についている。

四人は人の手を見て顔が真っ青になる。

現在までの人生で最高の嫌悪感を覚える。

その無数の手が伸び、狙撃された盗賊の死体を拾い集めて自らの口へ運ぶ。

手の数が多すぎて分からないが、こうして食べることにより人型の手の数が増えて言ったのだろうと考える


盗賊達が逃げるのも分かる。


「今…がチャンスや。あいつの注意がこっちへ向かないうちに逃げるで…」

「あれから、逃げ切れるのか?」


アローとカルナが心配する中、ただ、ゆいがカルナに殴られて脳震盪を起こし、大ムカデへのあまりの恐怖感に腰が抜けて立てない。

「……ダメ…立てない…」

「カルナ、お前のせいでゆいちゃんが…」

アローがゆいに肩を貸そうとするが、ゆいは手にすら力が入らない。


血で滴る盗賊達の死体を集め食べ終わり その先にいる四人を認識した。


人間の無数の手が波打つように動き、大ムカデが四人に向け加速する。


「……」

「やばい! 来やがった! ゆいちゃん立って!」

アローはゆいを無理やり引っ張り起こし走り出す。


小さくてもゾッとするムカデが巨大で、それが向かってくるとなると、居ても立っても居られない。


「キモいくせに早すぎやねん‼」。

四人は今ある体力の限界の限り走るが追いつかれるのは一瞬だ。無駄なあがきだが少しでも

走る。


BBSSYYUUU‼ BBSSYYUUU‼ BBSSYYUUU‼

四人に向けて移動する大ムカデの人型の腕が何本も何本もはじけ飛ぶ。


こうへーが遠距離から射撃を行うが。

だが腕の本数が多すぎて減っているかどうかさえ分からない。


最初は大ムカデ本体を狙っていたのだが、当たっても硬すぎて弾丸は貫通しない。


機動を維持する人型の手は多すぎるため、撃っても撃っても焼け石に水、石に灸である。


少し腕が減ったぐらいでは減速せず凄いスピードで目の前まで大ムカデが迫ってきた。


姑息に狙撃しているこうへいも、

「これはダメかも…」

と思った時、アローのこん棒が光輝きだした。


勇者がピンチに陥ると覚醒するという、なんたらかんたらで、実はアロー自身に秘められた力が発揮されるのでは。と少し期待するアローだが、アローはごく普通の一般人のため期待は皆無である。


期待していいのはこん棒の方である。

輝きを放つと同時にこん棒の先と後ろの先端、両方が三つに割れる。

先端はUFOキャッチャーで縫いぐるみを掴む機械のような型になる。

尾の方は三脚のような形になり本体を固定する。

先端らしき方が自動で大ムカデの方を向き後方では四人全体を透明のガラスのようなモノが包む。

すると音声が流れだす。


『危険補足完了 P 発射』


PPPPP GISYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYNNNNNNN‼


大ムカデに向けレーザーのような閃光が走り胴体の半分が消し飛ぶ。


四人は急激な目の前の光の輝きに思わず顔を腕で隠す。

「うわッ~~~~アロー むちゃくちゃだな!」

「俺…やばいやーーーーーーん‼ 覚醒‼ チート能力者やな」


こうへいとアローは感動し、閃光は彼方へと消えていく。

「アローよくやったな! まさかそんな力を秘めてるなんて~」

「お…おう」

「この調子で化け物が出てきてもアローがいれば百人力だな! よ! ヒーロー=アロー」

「まぁな‼ これからは化け物が出てきたら俺が請け負うわ。皆、俺に任せてや」

「おおぉ! 頼りがいがあるな 最高の男前に見えてきた!」


喜びに浸るアローとこうへいのテンションが上がり会話が弾む。

まるで大きな契約を取れた中小企業のサラリーマン二人に見える。


アローのこん棒の活躍により四人は危機を脱した。




だが――それも束の間だった。


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