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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
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第1-15話 砂漠の旅 ⑤


ゆいが自分の能力に気付いたのは砂漠を歩き始めて何度も丘を登ったり下ったりしている時だ。

遠くの動物を目撃した時に、近くで見て触りたいと思った瞬間、透明の自分が、ほんのいたずら心で動物を手で押した。

すると警戒しだす動物の姿を見て確信した。

「もしかして私…」


それからゆいは機会があれば試していた。

最初は力が中々うまく働かなかったが、今は人を掴んだり押したり出来るくらいまで操れるようになった。

そしてゆいは柱を渡っているときに実行する。

だが一度目は自身の反応とアローにより助けられ、二度目も運よく回避し、三度目には気づかれた。


「くっ…」

ゆいはどうするか考える。


吠えるカルナにアローは

「カルナ‼ 何言ってんや⁉ 目の前のやつに集中しろ‼」

「お前もこっちのこと気にかけてんじゃーーッッねぇよ‼」


カルナはアローの相手を吹き飛ばし

「じゃ、あっちにいるアホを引っ張っていけ‼ 全員俺がやる」

カルナは残り少ない体力を振り絞りながらアローに命令する。


「はやくしろ‼」

「はぁーー意味わからんねん…後でちゃんと説明しろよ!」

混乱しながらもこの状況の中、カルナを信じて言われるがままゆいを無理やり引っ張り連れていく。

「ドラゴンくんやめて‼ 放してよ‼ なんでよ‼」

「ごめん ゆいちゃん‼ とりあえず急いで逃げるで‼」


盗賊の攻撃から避けていたカルナは守りから攻めに転ずる。

余計なことを考えずによくなったからだ。

ただやはり人数が多い。

今は盗賊達は自分たちの能力で遊んでいるような状況だ。

相手が真剣になり近距離で完全に囲まれたら終わりだ。

カルナの方も囲まれてやばくなってきている。


アローはゆいを連れて急いで逃げるがすぐに囲まれる。

(くそ…四人じゃ無理だろ…レン…俺はどうしたら)


アローが疑問に思った…こうへーがいない…。


――BBSSYYUUU‼――


アローを襲う盗賊の頭がはじけ飛ぶ。

すごい勢いで何かに頭部がぶつかったように跡形も残らない。

アローやカルナの周りの盗賊が次々と、トマトを潰すかのように弾けていく。


残り数人になったところで盗賊達は急に撤退して行く。


こうへーが遠くからライフルで遠距離射撃をしたのだ。

実弾で撃ったことはないが、子供の頃からモデルガンでサバゲ―やシューティングゲームをしていたおかげですんなり扱えた。

扱いが難しいライフルも、こうも早く使いこなすとはセンスの塊なのだろうか。

だがこれにも秘密があり、実はライフルが自動でセッティングをしてくれるオート操縦モードが発動したのでこうへーは的に合わせて引くだけである。


「こうへーに救われたわ…」

そうアローが呟いていると、何やらカルナがゆいの方へ歩いていく。


「…よく白々しくもまぁ普通に接してこれたもんだなぁ」


カルナの言葉にゆいの不満が爆発する。

「…あんたに、あんたに何が分かるのよ‼ レン君は私にとって、とても大切な人だった。学校で助けられる前から何度も助けられた。中学の時、私がクラスの子からいじめられている時も庇って助けてくれたのはレン君一人…それ以来、私の世界は変わった。前を向いて生きようと思ったし自分も変えた。そこで生きる希望をくれた…そのレン君を…お前は‼」


カルナの拳がゆいの顔面にさく裂する。


「急に語りだしたと思ったら話、関係ねぇんだよ」


カルナはやられたらやり返すがモットーなのだ。


「俺は三度も、お前に…そんなことで殺されかけたのかぁ⁉」

「あほか‼ カルナ 女に手上げるなんて‼」


吹っ飛んで鼻血を出すゆいを庇うように、アローが止めに入るがそれを振りほどき、ゆいに掴みかかる。


カルナは言う。

「言わせてもらうが、あいつを助けなかったのはお前らだ。そんなに大事ならあいつの意思に関係なく無理やりにでも引っ張って連れてくるべきだろうがぁ…結局は自分大事さに先に扉に入って行ったお前の責任だろうが。助からなかったその責任を…俺やあいつに押し付けんじゃねぇ‼」


カルナが再度拳を振るおうとしたところでアローや駆け付けたこうへーに止められる。

「お前らどけ‼ まだ後二発殴ってねぇ」


「お前何考えてる⁉ 相手は女の子だろ‼」

「どこの紳士だ⁉ 殺されかけてるのに男も女もあるか」


――――――GGGGGGGGGGGGGGGG


そんな口論をしていると地面が突然揺れだした。


先の盗賊達はこうへーの射撃に逃げたわけではない。

彼らがもっとも怖いもの…それはすぐそこまで迫っていた。

こうへーが震えだす。

「やばいぞ…何か分からないがとにかくやばい!」


こうへーの震えと同調するように地面の揺れが大きくなる。

危険を感じたアローは

「今は喧嘩してる場合と違うやろ‼ 急いでこの場から離れるで‼ 急げ!」


だが砂が動くため思うように立っていられない。


BOUU! と砂埃が巻き上がり表れる。


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