第1-13話 砂漠の旅 ③
ゆいやアローが、渦の先にある長い亀裂のような崖に目をやる。
古代遺跡が滅びた時に柱が倒れて、上手いこと崖に架かったような大きな柱が、橋のようにかかり、渡れるようになっている。
「ほんとだ!」
「でも、あれを渡るんはキツくない?」
カルナやアローが辺りを見渡し考える。
この辺りでは過去に遺跡があったのだろう、と思い浮かべるほど周りに欠片や破片らしき物が散乱している。
かなりの遺跡の大きさだったのだろう。
滅んでから、すべて砂に飲み込まれてしまったのだろうか。
その破片の柱が橋のように崖に掛かってくれている。
それでもいつ崩れ落ちるかわからないので、渡りたくないのが皆の本音である。
皆が迷っているとアローが先陣を切る。
「俺がいくわ」
渦を迂回し柱の方へ行くのに丘をゆっくりと下っていく。
「目の前にすると大分でかいな」
ゆっくりと足をかけ柱を渡る。
みんなが冷や汗をかきながら見守る中、アローが渡りきる。
「オッケーイ! 大丈夫 思ったより柱も丈夫やで、そんな細くないからイケるわ。」
皆もホッとしてアローの後に続く。
カルナ、こうへー、ゆい、の順で柱に行きゆっくり渡る。
「…」
(ホントに大丈夫なんだろうな?)
「おっホントだ~イケるな~余裕」
「よかった。私高い所苦手なの」
以前、屋上から自殺しかけたゆいにカルナが皮肉を言う。
「ダイブっ娘が何言ってんだ?」
カルナの前にいるアローからこうへーに
「こうへー! 下見てみろよ!」
アローの冗談に対しこうへーが
「…アロ~俺が下を見るときはな~女の子が居るときだけだ」
「うぜっ!!」
柱の上で余裕の会話がされている中でトラブルが起こる。
「―――は?」
カルナが柱を踏み外した。
「―――‼ あほか‼」
アローが急いで助けようと動くが間に合わない。
「――ッち‼」
――ッガッとカルナはギリギリ柱に捕まり、なんとか走って戻ってきたアローたちの協力の元、カルナを引き上げ無事渡りきることができた。
渡りきり文句を言いたげなアローが
「迷惑かけんなよ。それにしてもお前、よくあんな太い柱を踏み外すよな。俺ら三人は普通に渡ったで?」
「………」
「ダイブでもしたかったんじゃない?」
ゆいが先ほど言われたことを言い返す。
険悪なムードを察したのかこうへいが和ます。
「まぁ助かってよかったな~」
それから気を取り直し四人は再び進む。
(さっきの…なんだ? 風じゃねぇ もっと別の…)
だが先程踏み外したことを、カルナは変な違和感を覚えたが特に追求はしない。
夜も明けてきて日が昇り始める。
一晩中歩いていたのでかなり体力を消耗した。
そこでゆいが見つけてこうへーに背負わせているバッグが活躍する時が来た。
ーーPPPとボタンを押して設定すると、バッグが広がり六畳程のテントが出来た。
しかも室内はエアコン付きのシャワーつきだ。
替えの下着まである。
どういう構造で、どういう仕組みなのか気にはなったが疲れすぎて、「まぁいいか」となってしまう。
四人はテントに入り外の太陽から体を休める。