第1-12話 砂漠の旅 ②
「こんな歩きにくいんは初めてやわ」
砂漠を歩いたことのない四人は歩きずらさに早速、弱音や不満をあげる。
こうへーが持っている銃は軽量化が施されているが、歩きにくいのと疲れもあり、余計に重く感じるのだろう。
「確かに歩きにくい~重い~んんん~」
そんなこうへーにゆいが
(絶対持たないけど、声だけ掛けとこうー)
「こうへーくん大丈夫? 私も手伝おうか?」
「ゆいちゃんは手伝わんでええで! そりゃそうやろ そんなもん背負うからや」
そんな三人を端から見ているカルナにゆいが
「砂がこんなにも歩きにくいなんて…今まで感じたこともなかったね」
ゆいは逆にこうへーに自分のバッグを背負わせて歩く。
それをカルナが言うがこうへーは
「クソ女、お前もなんか手伝えよ」
「カルナ! 俺は全然余裕! ゆいちゃんは女の子だぞ! かわいそうだろ」
ゆいに何を言われたのか急に男を見せ、元気よく心変わりした。
男女平等というものがないことをカルナはしみじみと思った。
改めて考えるとかわいそうにもなる。
標高三百メートルの砂の丘が連なるため中々前へ進まない。
アスリートでも辛い中、単なる学生で一般人四人でこの旅は辛いだろう。
ただこれが一人だと心が折れて進めなかったかもしれない。
四人だから、というのは未知の世界ではとても心強い。
しばらく進むと
「結構丘を越えたな!」
アローがみんなに達成感の共用を求める。
まだ先はあるがこうへいは後ろを振り向くと急に達成感が出てくる。
「確かに~」
だがこれから先に広がる丘を、また上っては下ってを繰り返す。
四人は合間合間で、休憩を取りながら進み体力を温存する。
ここまで来る途中、生き物達も少しはいたが、荷物を持っていないゆい以外は観察している余裕もなかった。
「あの狐みたいな子カワイイ‼」
「……」
「だな…」
「……」
みんなリアクションすら取れなくなってきている。
「見てみて‼ あの子、尻尾から炎が出てる! すごい! なにあれ! Etc…」
―――――省略―――――
それからしばらく進み丘を越えると砂を巻き込みながら地面を回る五十メートル程の渦が見えた。
しかも一つだけではない。
連なるようにして、その真横に何十個も渦巻いている。
普通の常識じゃ考えられないことが何度も起こっている。
進むに連れて皆のリアクションが雑になってきている。
その渦巻の先には、深さが想像もできない程、真っ暗で深い亀裂のような崖があった。
端の端まで続いており、これを迂回するとかなりの遠回りになる。
なんといっても向かっている方角が、合っているかさえ分からない。
なぜならドアのあった方角から考えて、星を目印に南東に街があると予測で進んでいるだけなのだ。
「これは、無理ね、引き返そうよ」
カルナがそれを否定する。
「ここまで来て引き返すのは無理だろ。一人で帰れ」
(うざ)
「じゃあ迂回していくの?」
変な空気の中、アローが何か見つけた。
「おい! あそこから渡れそうやで!」