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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
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第1-11話 砂漠の旅 ① (挿絵あり)

今まで砂浜ぐらいしか行ったことがなかった四人は見渡す限りの砂。

見たこともない砂の丘を見て感動! ――ではなく一気に進む気力が削がれる。


「むちゃくちゃ暑い~なんだこれ~鳥取砂丘?」

こうへいが意味わからないボケをかましているが、アローもその光景を目にすればツッコむどころではないようだ。

「死ぬ… これはだめだ!」

景色を見たこうへいとアローは座り込む。


それに対しゆいが引き返しの提案をする。

「…引き返す?」


だが叶はこの状況下でも嫌味ながらに

「――出口はねぇのにか?」


アローは八つ当たりするように

「黙れや‼ ――お前うるさいねん」


喧嘩をする二人に(一方的にアローが嚙みついていくだけなのだが)ゆいが口をはさむ。

「でも、このまま先へ進んだら私たちカリカリのミイラに干上がるよ⁉」


ゆいの言葉にみんなは考える。


こうへいが

「異世界にしてもこれはやりすぎだ。――普通街とかだろ!」


好きなアニメの設定を口にしても現況が変わるわけでもない。


周りに目を向け辺りを見渡すが何もない。

いや、――砂だけがある。


五人が居るのは、砂漠のど真ん中で、十メートルくらいの岩が二つあり、その間に扉が付いているその中だ。

外に比べると大分涼しいため、中々外に踏み出せない。


また踏み出したとしても倒れるのは明らかだ。

「夜までこの中で休んでから出発しない?」


ゆいが提案するがアローが

「いや、行こうや!」

「なんでよ…」

(ドラゴン君、意味わかんない正気…?)


「ここがどこの砂漠かわからんけど、夜はマイナス三十度の氷点下になる砂漠もあるって聞いたことがあるねん」


それを聞いたこうへいは顔が固まりながら

「俺は暑いのはまだ耐えれるけどな、寒いのは無理やわ~」

――いや、とすぐに考えを変えた。

「―やっぱ大丈夫大丈夫~ 動いたらそんなの忘れるって~」

暑すぎて頭がおかしくなったのだろうか? 


元々だったか… 


それに対しゆいが

「私は暑いのは無理! 焼けるしシミになる」

(ホント考えられない この男子達)


この暑い中、断固反対するゆいに対し叶は

「ババぁになったらそんなもん一緒だろぉが」

「――はぁ⁉」


「ゆいたん可愛いし大丈夫だよ~。俺が日焼け止め塗ろうか?」

チャンスとばかりに急いでゆいのご機嫌を取りに行くこうへい


「え! それは大丈夫! ありがと」

すかさず断るゆいの横からアローが

「こうへい…なんでお前そんなもん持ってんねん?」

軽めのツッコミが入る。

まるで急に体育の授業で夏マラソンが決まったかのようなテンションで会話するようなそんなやり取りをしている。


そんな会話の途中こうへいが扉付近で何かを見つけた。

「あれ…刀だ! やっばい‼ 俺刀大好きすぎて模擬刀とか持ってるけどこれ本物だ!」


一人で舞い上がってテンションが上がっているこうへいにみんなが集まる。

アローやゆいも何か発見した。

「これ剣やん! こっちは…こん棒⁉ なにこれ…」

「え このバッグなんか書いてある……自動シャボンお風呂⁉」


アローは高級そうな剣を放り捨てて、お爺さんが持ちそうな木っぽい謎のこん棒に興味津々。


はたまた、ゆいは念願のお風呂が入れるとのことなので早速使用する。

スイッチを入れるとPPPPPと音が鳴るとバッグの下から直径二メートル程の円形の機械が飛び出す。

バッグから二メートル程の金属製の棒が伸び上にも円形の機械が飛び出す。

すると縦長のシャボン玉のように水が間の宙に浮かぶ。

水温の温度変化は金属製の棒で操作できバスカーテンのような物も出てきて自動で外部から隠してくれる。

意外と強固に作られており、まるでカプセルのようだ。

だが重量は一般のバッグと変わらない。

持ち運びがとても便利だ。


ゆいのお風呂姿を覗きたかったこうへいだが、バスカーテンのせいで見えず諦めて他を物色する。

「これ俺の好きなデネルNTW20にそっくり~じゃないか‼ なんで⁉」

アローがそれについて聞くとこうへいは熱く語りだす。

「簡単にいうとスナイパーライフルなんだけどこの元になっている銃は長距離射撃かつ大威力の複数の弾薬をその状況に応じて使い分けることが出来そしてetc」

「…わかった、すまん、もうやめて」


皆が各自探す中でゆいが携帯非常食も見つけた。

バッグに入っていたのだ。

合わせると全員で三日分の食料がある。

水分補給もお風呂シャボンではなく飲料水モードや浄水器モードに切り替えが可能で飲料水として飲むことが出来る。


また、各機器を使用するには指紋と名前の登録制になっており登録しなければ使用できない。

登録することにより、全ての異世界での共通に(外国間での名前の違和感がないようにできる)認識することができる。


更にはパスポート的な役割も果たすと長々と説明書に書かれている。


簡単に言うと全世界オールマイティな名前が指紋により決まる。


こうへいは入力をためらっていた。

もしダサい名前が決まれば異世界ではその名前で呼ばれるので、慎重になりすぎて決めかねている。

なにせ名前はとても重要なことだからだ。

「名前か~どうしようかな。めちゃくちゃ迷うな~ヴァルキリーとかがいいな」

「本気か⁉ 普通にこうへいでいいやろ」


狂人そうな名前はやめて、アローに安牌を促される。

「そうかな~ま、なんでもいっか~了解」

PPPとこうへいの指紋が登録され決まった。


表示には『こうへー』とカードに映し出される。

すると――完了――と音声が鳴り、水に溶け込むようにカードが消滅する。



「こうへーって、これ入力ミスやんw」

そう笑いながらアローも登録を済ます。


もちろん名前は「アロー」で登録された。


各自登録が終了する。


ゆいはお風呂を使用するのにいち早く登録済みである。


まわりの話を半分聞きながら叶は登録で悩んでいた。

夢でのことがまだひっかかるからだ。

もし本当にその未来が来るなら、と思いながら。


登録は完了した。

表示には


――――『カルナ』―――


と登録されていた。


カルナは登録を終えて、持っていた銃のハンドガンを置いて休む。


各自、今日の疲れを癒すかのように仮眠を取る。


しばらく休むと砂漠が夜になった。


挿絵(By みてみん)


気温の心配があったが、思ったより意外と低くはならなかった。

だが、寒いのには変わらない。

暖かいダウンに温かいスープが欲しい所だ。


空想に妄想を広げ凍えながら四人は出発する。



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