第3-2話 新チーム?
セシルを出てから三人は、メインストリートを抜けて、高級住宅マンションやお店・ビルが立ち並ぶ中心街の方へ歩いていく。
交通整備がしっかりと行われており、どの場所へ向かうにも、便利で立地が良い。
「どこへ向かってるんだろう?」
タケミがカルナに話しかける。
「さぁな。しかもよぉ、殆どこの人とは初対面だから行動は分かんねぇよ」
「俺もこの世界に来て長くはないんだけど、この人の噂くらいは聞いたことあるよ」
「へぇ、どんな?」
「噂では、インフィニティ=タカ。暴君。街の腕自慢や荒くれもの、殺し屋・数々の能力者が挑んでも返り討ちにあって、その力がまだ未知数で上限がないことからインフィニティって名が付いたらしい。本人は嫌がってるみたいだけど……」
「なるほどな」
二人がタカの後ろでコソコソ話していると高さ40階建てのマンションのエントランスに着いた。
タカは何も言わずそのままエントランスから中へ入っていくので、二人は戸惑いながらも中へ着いていく。
タケミが、こそっと話を続ける。
「そういえば、もう一つ噂があった。そんな暴君のインフィニティ=タカに、天使のような子供が出来たって。 ……これも噂ではある世界の財閥の娘さんとの子供だとか話が出てるよ」
「お前、……よく知ってるな」
「うん。俺、噂話とか好きだし。大好物かも」
「お前、その笑顔清々しすぎだろ」
タケミは目を輝かせながらカルナへ話した。
最上階の部屋に着くと、その階、全てがタカの部屋になっていた。
部屋からの景色も申し分ない。
家を持てば誰しもここへ住みたがるようなデザイン性が凝った部屋だが、子供用のおもちゃやお菓子が散らかり、無法地帯とかしている。
「パパーー‼ お帰りー‼ 早かったね。……ん? 横のチビと能無しは誰?」
走ってきたのは小学生低学年程の女の子だ。
少女の言葉に思わずカルナは
(口わりぃなおい。てか、タケミの言ってた噂はホントだったのか)
タカは散らかっている様子を特に怒ることもなく椅子へ腰かけた。
一息ついてタカが口を開く。
「待て…… てめぇ誰がパパだ‼」
「「えぇ⁉」」
突っ込みに驚いている二人にタカが
「おい。ガキ(エネ)…… あぁ――ややこしいな」
(そういえばこいつら2人もガキだった)と思い言い方を改めて換える。
「こいつはエネ。身寄りがないから俺が引き取って、今は俺が世話してる」
(そうだったんですか。噂は違えど、タカ先輩。苦労されてるんですね)
タカの話にタケミがエネに顔を引っ張られながら感激していた。
「まぁこいつも色々複雑でな。たまには面倒見てやってくれ」
「はい! 俺でよければいつでも任せてください」
弟と重ねてしまうタケミはジーンと心に響くものがあった。
(なんか噂で聞いていた人とは違うな)
「いや~タカさん優しいな。さすがパ―――パッッッツぶへ」
タケミはタカの拳を顔面に喰らい、吹っ飛んだ。
「だーーれが、パパだ‼」
タカは殴り終わるとすぐに我に返った。
「あー、すまねぇ。つい、いつもの癖でよ」
伸びているタケミにエネは、顔に落書きを始める。
そのいたずらを止めつつ、カルナはタカの話を聞く。
「このガキがいると中々、急な依頼しか受けれなくてな。まぁ見ての通りおてんば娘だからよ。相手してやってくれ」
そいういとタカがエネに
「おい。ガキ。用意しろ。出かけるぞ」
「え! おでかけ⁉ わーーい! パパ大好き」
カルナは思わず
「この子も一緒に依頼に連れて行く…… んですか⁉」
「――あぁ。そうだ。まぁよろしく頼むわ」
タカに言われると横からエネに
「よろしくなー! むーちゃん」
「待て。お前それ無能の、む、じゃねぇだろうな」
「だって名前知らないもん。横のチビも」
「カルナにタケミだ。お前はエネで当ってたっけ、か?」
「そうだよ! むーちゃん」
「……」
(殺す)
《ガキにむきになるな。がきんちょ》
エルンに諭されながらも笑って感情をとどめる。
カルナはタケミをすぐに起こして、四人はマンションを後にする。
ちなみに依頼はタカが受注してきたので、内容はまだ聞かされてもいない。
どうなることかと、カルナは思いながら道に設置されているフリードアから別世界へ大人? 三人と子供一人は向かう。




