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VIXI---蒼炎のカルナ  作者: ネコるんるん
一章 【日常との決別】編
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第1-8.5話 扉の先で (挿絵あり)

扉を潜り、階段を下りてレンを待っていたゆい、こうへいの二人。

中へ入ると、そこは長いトンネルのような構造物が続いていた。


挿絵(By みてみん)


両脇には柱が立ち、まるで遺跡に似た雰囲気がする。

このトンネルは先の先まで続いていて気が遠くなるような長さだ。


普段の日常生活で当たり前のように使用しているバイクや車の有難さをしみじみと痛感する。


先に、扉の中へ入ったこうへいとゆいは、気を紛らわすため、無駄話をしながらレンとアローを待つ。


「ここめちゃくちゃ長いよな… このロードを俺の車で、かっ飛ばしたら一瞬なのにな~」

自分のお気に入りの車を自慢したいのか、こうへいがゆいに言う。

「そうなの? そんな早いんだ! 機会があったら乗ってみたいなー」


二人の後から扉に入って来たアロー。

「よぉ。お待たせ! ―――って話盛り上がってるやん。お前ら入って俺もすぐに入ったのに」

何故か違和感を感じた。


「時間の進み具合とか違うんじゃない~?」

「そうなんか? んーーどうなんか俺は知らんけど」


「ところでゆいちゃん! さっきの話だけど~――――etc――――」


―――――省略―――――


こうへいの話を聞き流すが、ゆいは明るく振舞い、リアクションを取る。

その光景にアローは気を使う。


そんな気づかいの重なり会う中、さらにこうへいは自分の着ている服を一枚脱ぎ、ゆいに肉体をアピールする。


しかもアピールは姑息に行われる。

「おい、アロー。お前ぇ~いい胸筋してるよな~」

「? ――急になんやねん」

一瞬アローは戸惑ったが、瞬時に意図を理解した。


アローは特に鍛えていない。

軽く運動している程度で、体つきもごく一般程度である。

そう。これは、こうへいの罠である。


この流れは、アローに

「え… 俺は全然筋肉ないで、――お前のほうがあるじゃないか… さすがだ!」

と言わそうという、遠回し自慢の演出をアホなりに考えて作っているのである。


これは高校生になった時から始まった。


女子は、バイク・車と筋肉が好き。という理由で免許を取ればすぐにバイク。

そして十八になれば車を購入し、大胸筋や二の腕の筋力トレーニングは今まで欠かさなかった。

(それ以外はしていないため意外とお腹は出ている。)

そのかいあってか、彼は現在まで、女の子に困ったことがない。

そんな男の魂が今疼いている。

もしかすると股間が原動力なこうへいは疲れを知らないのだろうか。 


そんな二人を眺めているゆいは、ツッコむべきか否か迷っていた。

いつもなら、いや、すぐにでもこんな天然はツッコミの餌食になるはずなのだ。


彼が今日までこんなにも天然で生きて来られたのはサケが川の水が綺麗ではないと生きれないように、周りの環境が良かったからなのだろう。


ゆいが苦笑いしながら口を開く。

「こうへいくん……」

「―――ん?」

「胸筋…… とても綺麗だね」


こうへいの頭の中に電撃が走った。


「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ‼ ここに分かるやつがいたのかぁ~!」


ゆいはこうへいの心を掴んだ。

いや鷲掴みにした。


誰とでもすぐに仲良くなる。

それが、ゆいの特技だ。

楽しそうに会話する二人を、温かい目で見守るアローと、無理にリアクションを取ろうと頑張るゆい達だが、和やかなムードもすぐに豹変する。


「それにしても遅くないか? ここに入ってもう十五分くらい経ってないか?」

「確かに… ホントに時間か? レンに何かあったのかな~?」


アローやこうへいが時間の経過に疑問を持った時、扉が開いた。


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