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よろしくお願いします(*^^*)
寝て起きて仕事に行き、帰ってきてはまた寝て。
まるで作業のような生活が俺にとっての日常だ。唯一楽しみといえるのはごくたまに来る姪とゲームをすること。
そんな淡々とした日々を送っていた俺だったが、それも遂に終わりを迎える。
なぜならもうすぐ俺の命は尽きる。
段々と視界も暗くなり、何も感じなくなっていく。
意識が消えていくことに恐怖は感じるが、不思議ともっと生きたいという欲は全く湧いてこない。
そこで佐々木優の人生は終わりを迎えた。
はずだったんだが、まさか転生するとは。
死んだ後はどうなるんだろう。と考えた事も何度かあったが、まさか転生、が答えだったとは。
いや、俺が例外の可能性もある。
何せ、生まれ変わった世界は魔法があって、生まれ変わった俺は魔王なのだ。
「なあルーク。俺の寿命ってどれくらいだっけ?」
俺は隣に控えていた副官、ルーク(魔族)にそう尋ねる。
「魔王様、突然どうしたんです?確か先代は一万歳で亡くなられたとか。ですがそれは勇者に倒されたからですので寿命ではないですが」
もし俺を転生させた神が存在しているのなら、人でなくとももう少し寿命の短い種族にして欲しかった。
一万年も生きたら、もはや人としての感情なんて無くなるんじゃないか?いや魔王だから人でもないのか。
「魔王様、本当に大丈夫ですか?」
考え込む俺にルークが本当に心配そうに俺の顔を覗き込む。
「そんなことよりも今はアスタリア王国の公爵令嬢のことです。わかっているとは思いますが、来週の誕生祭で魔王様が万が一にも負ければ、誕生祭を観にいらっしゃる公爵令嬢がメッタ刺しになることは確実です」
「わかってる。それを阻止しなければ魔国と人族の全面戦争が避けられなくなることもな」
「はい。それに滞在している間ご令嬢に万が一怪我ひとつでもつけば、それだけでも十分火種になり得ます」
「ああ。お前は令嬢から片時も目を離さずにいろ。くれぐれもその事を令嬢の護衛には気づかせないようにな」
「はい。魔王様はご令嬢を泣かせることがないようにお願いしますね。ただでさえ圧が強いんですから」
ルークは悪餓鬼のような表情を浮かべて俺にそう言い放った。