13.突然のキス
僕は山からどうやって帰ってきたのか知りません。いえ、知りたくありません。…お姫様抱きということは…ないと願いたいが、やけに魔法使い様はご機嫌なので真相は明日村人から知らされ、僕はシカバネになることが予想される。
魔法使い様は僕に告白の返事をさせてくれませんでした。それでいいの?て、おもうでしょう?しかし、魔法使い様は粘り強い人でした。
「君の返事はわかりきってますから。君は俺のことを仮恋人だとおもっていたいのでしょうけど、俺は本気です。これからはもっとどんどん押していきますのでよろしくお願いいたします」
「あ、ども、ご丁寧に…?あれ?なんか違う」
魔法使い様が僕に貴族の見本のほうな礼をしたので思わず返してしまう。
「君はいつも可愛いですね」
魔法使い様はそんな言葉とともに僕の頬にチュ………気が遠くなりましたが、今度はなんとか耐えました。
「あ、あのー、できればこのようなことはなしにしていただけると…」
「勇者とはこれくらいしてたでしょう?」
「うーん、勇者様とは生まれたときからの幼馴染でしたから普段はあまりキスしませんでした。甘い雰囲気のときはあるにはあったけど、まずは性欲を発散させるほうが先だったし…ヒィッ!」
魔法使い様が般若の顔をしてました。美青年の般若顔はマジコワイ…。ちなみに部屋の温度も確実に下がった。
「ぶしつけな質問ですが、勇者とはどこまでイったのですか?」
どこまで『イった』は場所的な意味ではないことはこの魔法使い様の冷気で判断できた。そうするとこの質問は勇者様とのアッチのことですよね。
「最後まではしてません!!」
「良い判断です。で、最後までは…ということはどこまで許したということですか?うしろはいじられたのですか?」
「お互いのモノを触り合ったりとか、です!さすがに婚前旅行のときの荷馬車ではうしろをきれいにできませんでしたし、城下町ではたくさん遊びたかったから結婚後に最後までしょうと…。城下町についてすぐに彼は勇者様になってしまったので…フライングもありませんでした!!」
魔法使い様の圧力(冷気)に負けていらないことまで喋ってしまったような気がするが、そんなことまで判断できないほど、美青年の般若顔は恐ろしかった。
「それではこれからゆっくり進めましょうね」
「は、はい!…あれ?僕は断っていたはずだったよね?」
「まずは頬にキスされるくらいは普通にしてもらえると助かります」
疑問で首を傾げていると、魔法使い様は頬にチュと………もう、好きにして下さい。
もしかして、魔法使い様はキス魔なのかもしれない。