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迷走中  作者: 渋谷奏
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旧暦忍者8 小鬼

「鬼妖神様! どうかお力を与えたまえ!」

 酒呑童子が妖怪の頂点、鬼妖神の眠りし肉体に祈りを捧げる。妖怪の暗いアジトに新たな妖怪が生まれる。

「ピカーン! ビビビビビー!」

 壁に埋め込まれた上半身のだけのような姿の鬼妖神。その目が光りビームを発射し、一人の妖怪が姿を現す。

「玉藻前様のお呼びにより駆けつけてきました。小鬼です。」

 現れた妖怪は、小鬼だった。

「よく来た。小鬼よ。忌々しい忍者を倒して、奏姫をさらい鬼妖神様に捧げて、鬼妖神様を復活させるのだ!」」

「ははあ!」

 こうして酒呑童子の命令で、小鬼は人間界に出発した。


「今日は転校生を紹介します。」

 奏の通う渋谷スクランブル高校の教室に新しい転校生がやってきた。

「小鬼です。よろしくお願いします。」

 なんと転校生は、妖怪だった。

「ギャアアアアー!? 顔がない!?」

 教室の生徒たちは転校生が小鬼なので驚いた。

「見つけたぞ! 奏姫! お前の命はもらった!」

 小鬼は、奏を見つけると襲い掛かる。

「助けて! 睦月ちゃん!」

 奏は、妖怪が現れてピンチになり、友達の睦月の名前を咄嗟に叫ぶ。

「これは姫の悲鳴!? 何か一大事があったに違いない! 直ぐに駆けつけるでござる!」

 教室の天井裏部屋でゴロゴロ漫画を読み、おやつを食べていた忍者の睦月が奏の悲鳴を聞いて、慌てて戦闘態勢に入る。

「姫! 大丈夫でござるか!?」

 睦月は、天井裏から教室へ飛び下りる。

「睦月ちゃん!」

 奏は、睦月が現れたことで安心の笑みを浮かべる。

「あれを見て!」

「ムムム!? あれは妖怪!? 小鬼!?」

 睦月は、自分が逃がした妖怪の1匹、小鬼と遭遇する。

「由緒正しき忍者の家柄! 旧暦家の名にかけて! 小鬼! お前は私が退治する!」

 睦月の決めゼリフと決めポーズが決まった。


「小鬼妖術! 可愛いフリ!」

 小鬼は妖術で可愛いフリをして睦月を油断させる。

「キャア!?」

「可愛い!?」

 奏と睦月は、予想外の小鬼の妖術に喜ぶ。

「ギャア!? 小鬼カワイイ!?」

 小鬼の妖術で睦月は戦意がなくなる。

「大丈夫!? 睦月ちゃん!?」

 奏はメロメロになっている睦月を心配する。

「大丈夫でござる。これぐらいのことで負けないでござる! 奏姫様、忍者に同じ技は通用しないことを見せてやるでござる!」

 これでも睦月は、由緒正しい忍者の家柄、旧暦家の一人娘であった。睦月の闘争心に火が付いた。

「くらえ! 小鬼妖術! 可愛いフリ!」

 小鬼が顔を奪おうと攻撃してくる。

「その手は私には通用しないでござる! 忍法! 旧暦分身の術! いでよ! 卯月!」

 睦月は、4月の旧暦の分身の卯月を分身の術で登場させる。

「ギャア!? 小鬼カワイイ!?」

 卯月は、小鬼が可愛いので驚いた。普段、睦月の分身たちは、皇居の奏の家で現在を満喫しながら生活を送っている。

「卯月! 小鬼を倒してほしいでござる! 私には小鬼が可愛すぎて手が出せないでござる。」

「私の任せて! 小鬼を倒してあげよう! 忍法! 桜吹雪! 視界ゼロ!」

 弥生は、酔っ払いのフリとは裏腹に、忍術で小鬼を桜吹雪に埋もれさせていく。

「どこから桜が!? ギャアアアア!? やられた!?」

 桜吹雪で小鬼を倒す。

「やったー! 小鬼を倒したでござる。」

「卯月ちゃん、スゴイ!」

 奏と睦月は、妖怪を倒して喜んだ。

「ありがとう、弥生ちゃん。」

「奏姫様のためなら、どこにでも駆けつけますよ。それでは失礼いたします。またね。」

 卯月は、主君の奏に挨拶して帰って行った。

「これで逃げた妖怪は後102匹。先は長いけど頑張るでござる。」

「私も何か手伝うわ。」

「奏姫様、ありがとうでござる。」

 奏と睦月は、残りの妖怪退治を全力ですることを誓うのだった。


「己! 忍者め! 今度こそ倒して、奏姫を鬼妖神様に捧げてやる!」

 妖怪の部屋の酒呑童子は悔しがった。


「こら! 転校生をいじめちゃダメでしょうが!」

 先生は、転校生をいじめると怒る。

「怒られちゃったね。私たちは妖怪退治をしただけなのにね。」

「いじめは良くないでござる。ニンニン。」

 奏と睦月の青春は、まだまだつづく。

 つづく。

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