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アルヴァって?

 

  目が覚めた。意識の覚醒と同時にここが異世界であり自分はアルヴァであるということを認識する。

  変わらず白い煉瓦造の部屋。自室と言っていいかわからないが昨日自分がいた部屋と違い、この部屋の装飾は女子らしさを感じさせる。女子の部屋なのだから当たり前だが。

 

  横に目をやると、レイラはまだ眠っていた。光一は昨日昼間から寝てしまっていたためかなり早い時間に起きてしまったようだ。レイラはこちらを向いて眠っていた。寝顔も絵になる美少女だと思い思わず笑みがこぼれる。

  起きたままこの部屋にいても少し居心地が悪かったので、光一はレイラを起こさぬようにそっと部屋を抜け出した。


  光一が部屋を抜け出して小一時間家の中に朝から怒鳴り声が轟く。


  「アルヴァー!どこいったの!」


  扉が勢いよく開く音がし、そのすぐ後もう一度扉が開かれる音がした。おそらく光一の部屋を見に行ったのだろう。しかし、そこには光一はいない。

  今度は階段をドンドンと音を立てながら下りてくる音が聞こえる。

  そしてリビングに座っていた光一を見つけた。


  「私の視界から消えるなっていったでしょ!」


  「そんなことは言ってないと思うけど……」


  「そんなことどうでもいいの! もう、アルヴァはーー」


  意味のわからないお叱りを受けた光一だったが、レイラの言葉が続かなくなるのを見て口元をがゆるむ。別に彼女が最後まで言葉を発せなかったことを笑ったのではない。

  レイラは目を丸くして彼女が絶句した原因を眺めた。


  「これ、アルヴァが作ったの?」


  レイラの視線の先にはプレーンオムレツとポテトサラダがテーブルの上に置いてあった。

  光一は料理を作るのが好きでよく一人で色々な料理を作っていた時もあった。彼はレイラの問いにに得意げに頷いた。


  「いつの間に料理なんて……」


  レイラの声には驚きと悔しさが混じっていた。悔しさの部分はおそらく光一の料理が彼女よりも上手いのではないかということにあるのだろう。

  食事中も時折悔しそうにこちらを見てくるレイラに光一は笑いを堪えるのに必死だった。


  昨日はあれだけこの世界に不安があったのに今はここにいてレイラと共にいる時間がとても楽しいと感じている。理由はわからない。


  食事が終わりレイラは食器を片付けながら光一に話しかける。


  「今日は学校行けそうだね。」


  「う、うん」


  光一に新たな不安要素が生まれた。

  学校。確かに見た目からして光一と同じ歳のアルヴァは学校に通っているのは当然だろう。しかし今、アルヴァの中にいるのは光一である。異世界の勉強はどんな感じかわからないし、友人関係もよくわからない。それにアルヴァの性格も知らない。

  これで本当に学校に行けるのだろうか、と光一は考える。


  「辛かったら私にちゃんと言ってね。 無理はしないで」


  光一は昨日から思っていたことだがレイラは光一ことアルヴァに対して過保護すぎではないかと感じた。

  確かに昨日は熱を出していたことになっていたため心配になる気持ちもわかるが、今の言葉も少し深刻そうに聞こえた。

  そういえば光一はレイラの他に家族を見ていない。ここの家族構成はどうなっているのか。と考え、嫌な予感がしてそれ以上考えるのをやめた。


  □■□■


  白い制服(?)を着て学校へ向かう。その頃に光一は自分と違う身体についての違和感も無くなっていた。

  もちろん、学校へはレイラと一緒に行くことになっている。光一は美少女と共に登校できることを心から幸せだと感じていた。


  学校へ行くための街路を通っている途中、同じ制服を着た少年が三人、光一達の方に向かってきた。

 

  (もしかしたら、アルヴァの友達か……?)


  そう考えた光一であったが確証はないので挨拶するか躊躇してしまう。横を見ると何故かレイラが少年を見て顔を顰めている。

  すると少年達の方から声を掛けてきた。しかしそれは挨拶ではなかった。


  「アルヴァ、昨日は練習怖くなって休んだのかな?」


  「アルヴァは昨日熱が出てたって言ったでしょ!勝手な言いがかりはやめてよ、レオ!」


  「はいはい、怖くて熱がでたと思い込んじゃったのね」


  赤髪の少年ーーレオという名の、おそらく三人組のリーダー的な存在ーーが腰に手を当て、明らかに挑発的な口調で話しかけてきた。それに対しレイラは光一を庇うように前にでて反論をする。

  この状況をみて光一は思った。


  (もしかしてアルヴァっていじめられてるのか?)


  光一はアルヴァの顔を昨日今日で何回か見たが、レイラに似てかなり整った顔だと思っている(自己陶酔ではない)。他に何か原因があるのだろうと考えた。


  「アルヴァ、行きましょ」


  その原因がわからぬままレイラに引っ張られ足早にその場を去った。その最中に三人組の方に気づかれぬように目をやると、レオは光一に嘲笑うかのような視線を向けていた。


  □■□■


  学校に到着した光一は開いた口が塞がらずにいた。学校というより聖堂、といった方がしっくり来るような外観だ。そんな光一を不思議そうにレイラが見つめる。


  「早く行きましょ。 今日は剣術の模擬試合だから急がないと遅れちゃうよ」


  「け、剣術……?」


  レイラが何を言っているのか理解できず光一はおうむ返しをしてしまう。学校と言われていたので座学中心かと思っていた光一だが、剣術のしかも模擬試合という物騒な単語を聞きこれから何が起こるのか不安になる。

  そんな光一の様子を察してなのかわからないが、レイラは光一の両肩に手を置き「大丈夫だよ」と言って見つめてきた。光一は恥ずかしさで咄嗟に視線を逸らす。

 

  「異世界の学校か……」


  レイラに聞こえないように小さくそう呟いた。光一の初めての異世界学校生活に期待と不安が入り混じる。不安の方が圧倒的に大きいが……

 

 

 

 

 

まだ異世界感出てなかった気がする。次回かそのまた次の回では光一が活躍すると思われます。


あ、感想やレビューもらえたら嬉しいです。

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