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フォンテス

空を飛ぶ一団が、ブレブロ上空に差し掛かろうとしていた。破壊衝動がフォンテスを嗤わせる。

貧乏貴族の三男坊に生まれたフォンテスは、成人を前に家を放逐された。そして都会に出たもののスラムに堕ち、そのまま路上を塒にするごろつきとして暮らしていた。這い上がることが出来ない生活。一生このままだろうという絶望の毎日に、ビクトーは突然現れた。


『見つけましたよ、私の仲間、フォンテスよ。私は使者ビクトー。魔王が復活なさいました。あなたは人間ながら魔の魂を持っています。私が力を貸しましょう。魔物に進化して、我が軍に来るのです。』

頭に響く声。蝙蝠の羽をはばたかせ、フォンテスの前に降り立った謎の執事は、手を差し伸べてきた。


銀髪に、血の様に赤い目のこの男が誰で、何を言ってるのかは関係ない。フォンテスが聞きたいことは一つだけだった。

「ここから這い上がれるのか?」

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