開戦と行きましょうか
ゲド、ジャービル、エタースが一斉にシャサを見る。
驚きの表情で注目されたシャサは、おどける様にわざとらしく顔を歪め、笑った。
超人勇者が相手であろうとも対峙するシャサが、戦う前から敗北を確信している。
いや、確信しているのは、死だ。
それを回避するには、ここにいるメンバーでは無理だ、とシャサは判断したのだ。
だからこそ、混沌最強であるレインに頼ろうとしているのだが、それがシャサの口からついて出た言葉であることが、混沌のメンバーたちには驚きだったのだ。
シャサは、レインを敵視している。
同じパーティーにいながら、だ。
何があったのか、シャサは語らない。
だが、皆、薄々感づいている。
きっとシャサは、レインに敗北したことがあるのだ。
だからこそ、いつか寝首をかこうとしているのだろう。
そんなシャサが、レインの手を借りようとしている。
シャサが卑屈にならざるを得ない強敵が目の前にいるなど、ゲドには信じられなかった。
「シャサ、おめえ……!」
「ゲド、あんただけは逃がしてみせる。だから何とか、レインを……、なるべく早く、頼む……!」
その悲痛な声に、混沌の面々の心に火が点る。
仮面の騎士との戦闘開始を見据え、エタースの眼光が鋭くなった。
仮面の騎士は、その殺気を受けるが、動じた様子はなく、セオドールとダーハムの前に出て、混沌と対峙する。
「開戦と行きましょうか」




