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悪寒と小声

その声は、騎士の声とは思えぬ、女のもの。

女声の仮面の騎士は、尚も妖しい嗤い声をあげ、ゆっくりとセオドールの方を向く。

セオドールは片眉を上げながら、口元は笑みを形作っている。


「誰ってお前……、よく生きてたもんだ」


そう言いながらも、セオドールは信じていた。

生きていると、信じていた。

キーネ商会からの逃避行の最中、突然後方に現れた、見知った化け物の気配。

騎士の正体は、あいつだ。


セオドールの全身に、冷や汗と脂汗が一斉に吹き出す。

ダーハムも同じだった。

二人は、内心苦笑した。

セオドールは、そしてダーハムも、あの化け物を仲間だと思っている。

恐怖もないはずだ。

しかし、体は違う反応を示した。

二人の一瞬のアイコンタクト。

生唾を飲み込んだのは、どちらだっただろうか。

あの化け物は、頼もしい。

だが、不安でもある。

とんでもない手札が、手元に来たのだ。


「久し振りね。我ながら……」


仮面の騎士が、セオドールに返答する。

セオドールは無言で、仮面の騎士の発言の続きを待つ。


「我ながら、本当にしぶといわ。……ここがアーマンダインなの?セオドール」


墓地と林を見回し、仮面の騎士は素っ頓狂なことをのたまった。

混沌の面々は、言い様のない違和感に眉をひそめた。

この騎士は、何故自分の街をアーマンダインと混同する?何を言っている?

セオドールが溜め息混じりにうなだれる。

ダーハムはへたり込んだ。


「ここは違うぜ。アーマンダインに連れてってやるから、お前こいつらを倒してくれ。俺たちは疲れた」

「任せたー」


二人の言葉を受けて、仮面の騎士が混沌の面々を見回す。シャサも、エタースも、ゲドも、ジャービルも青ざめた。得体の知れない悪寒が、混沌の全員にはしる。

シャサは、小声でゲドに告げた。


「レインを呼んで来てくれ、頼む。あれはヤベえ……!」

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