泥島、待ち合わせへ
開け放たれたままの扉の向こう、通りの真ん中を、人型の何かが歩いて来る。
外を見ている者たちは、その異様な姿に釘付けになった。
「ゴーレムだ……!」
人型のそれは、真っ直ぐギルドに入って来た。
二メートル近い巨躯に、異様な土色単一色。
ボウリングの玉の様な頭部に、ゴツゴツとした筋骨隆々の腕。
胸部には平たい胸当て。
腹筋は、これみよがしに割れている。
下腹部はプロレスラーの様な、黒いパンツ。
そしてそこから生えた、太く逞しい脚。
「あのう、ジアナいませんか?」
泥島である。
首元には、真っ赤な蝶ネクタイを付けている。
筋肉と蝶ネクタイという異様なその姿は、見る者を恐怖させる狂った感性に溢れているが、泥島にそういった自覚はない。
これまで泥島は、異性と付き合ったことがない。
故に、意識した異性に気に入られる為の術を身に付けていないし、そういったものがわからない。
そんな泥島が、泥島なりに導き出した答えは、男らしさを見せることだった。
「アリスも穴倉も、何だったらクマガイも、男らしいっちゃ男らしい性格ですよ。でも俺には、あいつらみたいなガサツさはないんでね」
この思考から、泥島は外見を男らしくする手段を取ることにしたのである。
「男らしさと言えば、ゴツいマッチョですよ。アリスにも穴倉にもない俺だけの魅力。いわゆる隙間産業。奴らにないものといえば、ゴリゴリのマッチョバディと、繊細なハートですよ。女子はギャップに弱いんでしょ~?目指したのはキン肉●ンビッグボディの体に、ロビン●スクの紳士のハート。まさに今の俺ですよね~」
見た目は、ケ●ダマンに近いものがあるのだが。




