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カプリスの一存
震える手を握りしめた銀髪の女は、屈託のない明るい笑顔で、空を睨んだ。
「カプリスちゃん、大☆復☆活☆」
そして、飛び立つ。
心を浸食されていたことに、カプリスは不愉快な気持ちになる。
いつから浸食されていたのか。
「たぶん最初からね。ま、いっか☆」
言葉と裏腹に、カプリスの笑顔が、攻撃的な硬いものになってゆく。
浸食によって失ったものは、数限りないからだ。
それは、主にアリスについてだ。
アリスの記憶が色々抜け落ちているであろうこと。
アリスを殺されたこと。
アリスの周りの環境が、カプリスの望まないものになったこと。
カプリスは、自分と他の全てをオモチャにされるのは構わないと思っている。
だが、アリスに手を加えられたのは許せない。




