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あの日の婚約者

十年前のアンデッド事変で親を亡くした私は、その後、程なくして祖父母も失い、天涯孤独になった。

そして、神殿での葬儀の際に、他の神殿から来ていたルレット姉様と初めて出会った。

姉様は優しく、私は神官の妹となった。


姉様と神殿は、祖父母の遺してくれた屋敷と財産を保護してくれた。姉様自身、孤児を放ってはおけない性分らしいが、私については、ガイン兄様が、何かあった時の保護を姉様と神殿に頼んでくれていたらしかった。兄様のお心遣いには、今も感謝の念が絶えない。


幼い頃、少しの期間、兄様は私の祖父母の屋敷に居候していて、毎日私と遊んでくれた。私は兄様が大好きで、街で他の子たちが騎士様騎士様と言い、兄様に群がるのに嫉妬して、泣いたこともある。


その時、私は、兄様の求婚を受けた。兄様は、幼い私にもわかる様に、騎士定番のプロポーズを私にしてくれた。私だけの騎士となると、誓いをたててくれたのだ。あの日から、ガイン兄様を想わなかったことはないし、あのアンデッド事変の時の勇姿は目に焼き付いている。愛する婚約者の私を守る為、兄様がアンデッドを一騎当千の強さでなぎ倒したあの勇姿を、幼い私は窓から見ていた。あれを思うと、いつでもどこでも、愛しさと誇らしさで胸がいっぱいになるし、無限に力が湧いてくる。


その後、兄様は姿を消した。私は勇者の力が覚醒し、神殿に正式に勇者として認定され、勉学と修行の日々を過ごした。よく、過酷な修行をしたと言われるが、兄様と同じ道を辿っていると思えば思う程、嬉しく楽しいだけの毎日だった。修行を終える寸前になると、超人の力までもが覚醒し、私は歴代最強の勇者と呼ばれる様になった。


今、兄様はどこにいらっしゃるのだろう。私の名よどこまでも轟け。私が兄様の胸に飛び込み、あの頃の様に、抱き上げてもらう為に。


私は、ユウ・ジョルカル・ランダルム・ジダール。神殿の超人勇者、ユウだ。

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