俺たちの転生
「泥島ー。 泥島やーい」
俺が呼ぶと、泥の玉が、高木の木の後ろから、コロコロ転がってきたわ。そして、玉に泣きそうな顔が浮かび上がったわ。キッショ……。
「えぇ!? 有栖川、人間じゃん…!? あー、有栖川で、アリスか……」
うわ正解だわ。
「お前、泥だんごかよ」
俺がそう言うと、泥島の涙腺が決壊したわ。
泥島は泣いたわ。ただ泣いたわ。日暮れまで泣き続けたわ。泣いて泣いて泣いたわ。
「……俺さ、泥じゃん? あの女神さ、泥島くんあなたはゴーレムよ!って言ったんだよ。 でもさ、俺、何か進化を繰り返して行かなきゃ、まともな人型にすらなれないんだって。 道のり、かなり長いんだって」
プププ悲惨だわー。ひくわー。
「泥島くん…、言っていいですか?」
高木が上から話しかけてきたわ。
「高木の声!? どこ!?」
泥島はキョロキョロというか、コロコロしてるわ。
「上です……」
泥島が見上げると、高木が精気のない顔で言ったわ。
「動けるんだからいいじゃないですか……。 私なんか、自分がなってる枝をさわさわ動かすのが精一杯ですよ……?」
高木と泥島の涙腺が決壊したわ。
夕陽が最高に綺麗だわ。俺、すっごく気分がいいわ。




