追い剥ぎアリス
「すごいですわ…!まさかSARUを撃退するとは…!」
イオは喜びの顔でアリスを見る。
アリスは片目を瞑り、舌を口の端にぺろりと出しながら、イオに向かってサムズアップの親指を立てた。
アリスの体に力がみなぎってくる。
SARUを倒したと判定され、レベルが幾つも上がったのだ。
ステータスが向上し、膨大な量の魔法、スキルが追加される。
「うぇーい!LV10コぐれぇ上がったぞオイ!SARUざまぁ~☆」
片眉下げて大口を開けて、SARUを指さすアリス。
SARUは地獄の炎に顔を焼かれ、瀕死だ。
「とはいえ」
アリスは、SARUを寂しげに見下ろす。
イオに力を借りねば、負けていただろう。
はしゃぎはしても、こんなものは本当の勝利ではない、という気持ちがアリスにはあった。
新スキルIgnitionにRevolutionを重ねて、一時的に爆発的な攻撃力を得て一撃食らわせたことは、アリスの中ではズルの様な感覚なのだ。
次があればその時は、己の拳のみで、正面からねじ伏せてやる、と心に決めるアリス。
「俺的には、後味が悪いわ」
ならば、やることはひとつ。
「こんなんなっちゃったら、脱がすしかねぇわ」
腹いせである。
「よいではないか、よいではないか☆」
アリスは、SARUのパーカーを剥ぎ取る。
そして頭から被り着た。
「おぉ!ナマ足がっつり出て、今俺めっちゃ可愛い感あるわ!どうコレ、オイ!」
イオに反応を促す。
「そ、そうですわね」
「追い剥ぎ、気持ちがスッとするわ。俺の生きる道はこれだ感あるわ。山賊王に、俺はなる!」
その時、馬車からクマガイが飛び出して来た。




