男には男のロマンがある
アリスの体のそこかしこが発火した。
炎は、黒い炎へと変わる。
黒い炎は全身に広がり、アリスの体に絡みつく。
瞬く間に、あどけなくも美しいアリスの肢体が覆われ、禍々しい黒炎の魔人がかたち作られる。
SARUは、高速回転を始めている。
「魔人ガールのマジガッツ!」
そして回転止めたSARUの両手が、無数の闇の大蛇へと変化する。
「女神協力!目覚める能力!」
蛇手の魔拳がうねり、アリスの方向に首をもたげ、威嚇の大口を開ける。
アリスは意に介さず、獲物に飛びかからんとする獣の様に、前傾の姿勢をとった。
「いきなり黒炎ですか!?今のあなたでは、一回の変身につき、一分程しか持ちませんよ!?しかも、魔力が切れる前に変身を解かないと」
「解かないと!?」
「服が燃えますわ」
「出た出た、オイ!大惨事じゃねぇかくそが!お前さすがはカプリスの身内だわ!ノリが一緒!」
イオが付加したIgnitionは、魔力を炎に変換し、それを全身に纏わせて、短時間だけ爆発的な戦闘能力を得る能力である。
通常の炎、アリスの使う黒炎、そして黒炎よりもさらに黒い地獄の炎と、使う炎によって三段階の強さを得ることが出来る。
「通常の炎なら三分、黒炎なら一分、地獄の炎なら十秒程ですわ、今のあなたが使えるのは」
「なら地獄の炎一択だわ」
『な!?何を言い出すかと思えば!待つのですわ、アリス!』
「男には男のロマンがあるわ!女は黙ってろ!よし来いや、地獄の炎!」
アリスの黒炎が、より黒く、禍々しく逆巻き、地獄の炎へと変化した。
「命の炎をかき消すのはァ!」
「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ!限界突破!Revolution!」
アリスの体から、どす黒い闇の気と黄金の神気が吹き出した。
SARU、そしてアリスが叫び、魔拳、そして抜き手を同時に繰り出す。
「魔拳のォォォォォ!」
「食らえ必殺!ブラックゥゥゥゥゥ!」
「SAAARUUUU!」
「アウトォォォォォォォォォ!」




