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転がる運命

俺は穴倉を親友だと思ってたよ。少なくとも俺はそう思ってたよ。でも何だよ?世界が変わると、お前は俺たちを、そんな簡単に捨てるのかよ。


穴倉が、自分の好奇心に勝てない性格なのはわかってたけどさ。でもその好奇心を、魔物になった自分自身だけに向けてる。ありゃもう別の生き物だよ。


アリスが穴倉のことでピリピリしてたのも、今ならわかる気がする。穴倉が俺たちを食うかもとか言ってたってのが、きっとアリスにはリアルなもんに感じられたんだろうな。俺は今回、食われなかったけど、穴倉は危険な感じがする。


モヤモヤした気持ちが収まらない俺は、ただ転がり続けた。夜通し転がり続けた。考えごとをしながらだったから、どう進んだかはわからない。わからないが…森を出た。


「え゛?」


そこは人里だった。村だった。簡単な柵をして囲ってはいるが、俺なら難なくすり抜けることが出来るだろう。少し人間を見て回るのもいいかもしれない。俺は急いで木の柵の根元に寄り、そのかげにサッと隠れた。子供たちが木の小枝を手に持って、ヒュンヒュン音を鳴らして振り回している。見るからにクソガキトリオだ。あんなの食らったらひとたまりもない。俺の警戒をよそに、子供たちは昼メシを食う為に家に帰ってく。こういうの、あったなー。俺も子供の頃、穴倉と遊んでて、昼メシ食いに家に帰って、食ったらまた集合な、って言ってたのに、穴倉がそのまま家から出て来ないことが何度も…あのヤロー。


「おだんごに顔がある。」


やべっ、子供に見つかった!

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