追うも逃げるもボクシング
ロイドの姿が霞の様に消えた。
そしてアリスの姿も。
「腕を回復させる暇は与えん。今が勝機」
「お前、服部の仲間じゃねぇのかよ!?何だオイ俺狙いって!」
ロイドがアリスに迫り、左右どちらにも刀を持っている。
右には、小太刀。
左には、脇差し。
小太刀よりも、脇差しの方が若干小さい。
左腕を切断されたアリスは、攻撃の起点となる左ジャブが使えないことに歯噛みし、ロイドの二刀による猛攻をただかわし続ける。
「お前にゃ聞きたい!ことがあるぜ!」
ガードを上げたSARUもアリスを追い、左右のフックを繰り出す。
追うスピードは、ロイド以上だ。
「ピーカブースタイル!てめぇ、ボクシングやってやがんな!?」
「そういうお前もボクシング!小さいくせにデトロイトSTYLE!」
「くそがよ!左腕がありゃパーリングでてめぇのパンチなんか!」
パーリングとは、手でパンチを弾くボクシングテクニックである。
SARUの拳は一撃でも食らうべきではない。
アリスの本能がそう告げる。
「攻略するのはァ!」
アリスは全弾避けようと、いつになく必死だが、もはや触れる寸前だ。
蛇手の右ストレートが伸びる。
「魔拳のォ!SAAARUUUU!」
「野郎!目覚めよと呼ぶ声が聞こえ!Revolu…!ぐぅえッ」
魔拳が炸裂し、アリスの顔面の左半分が吹き飛んだ。
「回復!」
瞬時にアリスの顔面と左腕が復元された。
そして髪も。




