疾風のロイド
アプリコットを狙い、カプリスが駆ける。
しかし前に立ちはだかるは、イオ。
カプリスが後方に声をかける。
「聞いてみんな!あれは復活した魔王アプリコット!今ならまだ弱い!奴を殺す為に協力してほしい!このイオは悪に堕ちた私の姉!私が引き受ける!」
「どの口が言うのですかカプリス!あなたこそ悪そのものではないですか!」
カプリスの剣撃を杖で受けるイオの顔は激情に歪んだ。
目を見開き、歯を食いしばり、カプリスを押し返す。
カプリスも目を見開き、歯を食いしばる。
アプリコットは目を細めながら口角を上げ、一瞬だけ邪悪な笑みを浮かべた後、すぐに毒気の抜けた表情に戻る。
「さて、妾を殺せるものかのう。高見の見物と洒落込もうかの」
全員がアプリコットを見る。
カプリスは味方全員を見回し、声を張り上げた。
「おのれ魔王!みんな、イオは強い!さっきも言った様に、私が相手する!ロイド王子はSARUの足止めを!奴は王族に手を出せない!ガインはイゴールを!力で押し切れ!あずみちゃんは王子についてサポート!」
「承知!」
「応!」
「合点だ!でござる」
カプリスの采配を聞き、ビクトーが怒りの叫びをあげる。
「私を頭数に入れないとはいい度胸だ、炎の女神官!我が主の前でかかされた恥は、貴様の死をもって注ぐ!だがまずは、ロイド王子だアアアア!」
鬼の形相のビクトーは、SARUに向けて駆けるロイドの行く手を阻む。
そして左手の爪を勢いよく降り下ろした。
ロイドは体勢低く右手甲で弾きながら、左手に逆手で持つ小太刀を薙ぐ。
ビクトーの横腹に入ると思われた一太刀だったがしかし、ビクトーは爪を弾かれた勢いで回転しながら跳躍し、小太刀の上方を飛び越えかわした。
と時にビクトーは、背中の蝙蝠の羽根を左翼だけ展開する。
羽根は、生き物の様にうねり、ロイドの足に巻きついた。
動きを封じる狙いだ。
「悪魔の羽根は、変幻自在の触腕となるのだ!死ね!ロイド王子!」
ロイドの足を捉えたビクトーが勝ち誇り、爪で突いた。
しかし、捉えていたはずのロイドは煙の様に消え、ビクトーの爪の上に腕を組んで立っていた。
ビクトーの眉間に向けて爪先蹴りを繰り出すロイド。
ビクトーはもう片方の羽根を広く、マントの様に展開して、蹴りを間一髪防ぐ。
同時にロイドの蹴り足を包み掴もうとするが、既にロイドはそこにはおらず、SARUに向かって駆けていた。




