ルリの熟考の果て
さて、これといった思いを抱くことがないとは考えつつも、だがしかし、やはり気にしておかねばならないのが、レブナントと、私の変化についてだ。
レブナントのサンプルは三つ。
アリスと、私と、泥島だ。
正直、アリスについては、何かが変わった実感はない。
アリスは両目から頬に、私は頬(と便宜上は仮定するが、スライムの頬がどこにあるかなど、厳密にはわからない)に、三針ずつ縫われた傷痕がついている以外は。
泥島の場合は、よく見えない。
彼は泥だんごであるし、レブナントになってから、あまりにも変わり過ぎたので、私たちとはまた違うのかもしれない。
レブナントは位の高いアンデッドで、生前と比べて、思考能力にしろ、身体能力にしろ、劣化が一切ないとのことだ。
思考能力にしろ、身体能力にしろ、完全に保有したままであるということは、私がこうして自分についてあれこれ考えていることからも、アリスを乗せて爆走していることからもわかる。
しかし、思考の変化はある。
アリスは全く変わっていない様に見えるが、性的?な欲求を言及する時の表現が、何だか露骨になった気がする。
泥島は全体的に態度が悪くなった気がするし、不敵になった。
私は私で、闘志が一瞬で湧くということがなくなった様にかんじる。
黙って口をきかないなどという、穏便な手段に出る私なぞ、本来の私ではないと思うのだ。
アリスや私については、死を超えての心境の変化かもとも思えるし、泥島については、力を得て調子に乗ってるだけの様にも見える。
だが、レブナント化による変化の可能性を捨てきれないままなので、結局のところ答えが出ない。
よって、こういった思いを抱いても、無駄といえば無駄なままだ。
なので私は、アリスの体の柔らかさ、その少女の感触に意識を向けながらの爆走に戻ることにしようと思う。
願わくば、私もアリスの様に、せめて見た目だけでも人と変わらぬ様になりたかった、などと思いながら。




