力を借りたい
亜実は、眼含レーダーの効果で、二人を見つけていた。
眼含レーダーは仮面をつけた者の視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚を研ぎ澄ませるのに加え、魂を感知して、相手の場所や攻撃を自動で探知する。
「何でわかりやがった!?」
「こわいよー、こわいよー」
『この異空間を、私は勘違いしてました。あなたたちが作り出したこの空間は、あなたたちの全てを隠した。…と思わせるけど、実際は違う。私はあなたたちにまんまと騙されていた。気配すらかんじないと思ったのは違う。逆』
「バレてやがる」
「謝ろうよー」
「うるせー黙れ」
「俺は謝るーごめんなさいー」
『この異空間は、あなたたちそのもの。あなたたちの気配が濃密に充満した場所。だから、この空間は見た目と音を遮断しただけ。後は錯覚。ですよね?セオドールに、ダーハム』
「カラクリだけじゃなく、名前までバレてんのかよ」
「ちょっと調子に乗りましたー助けて下さいーしゅるしゅる体に入られるのは嫌ですー」
「うるせー」
「でも天地返しはどーやって抜けたんだー!こわいよー」
『落ち着いて下さい、ダーハム。それについてはですね』
「完全に聞こえてやがる」
「落ち着きますからー助けてー」
『助けますから落ち着いて。天地返しは、この異空間に、違う異空間を発生させて、疑似重力に引き付ける術』
「正解だ。種明かしなんかして、何のつもりだ」
「えっ助けてくれるの?何で?」
『あなたたちの力を借りたいんですよ』




