無敵じゃねーかあんなもん
セオドールとダーハムは、実は亜実のすぐ近くにいて、息を殺していた。
ダーハムが鼻息を吹き漏らすと、熱風がアダムを襲った。
「聞こえてないんだよな?これもさー」
「ダーハムてめーうるせーんだよ。異空間の中じゃ、俺ら以外は異物だって何回言やわかるんだ。奴は俺らを見ることも、音を聞くことも出来はしねー」
二人のやりとりが異空間を刺激して、亜実への攻撃手段を作る。
異空間内の亜実を囲む様に無数のトゲが出来、亜実に向かって射出される。
亜実はそれを全てかわした。
「666(セイシエンスタ・セセンタ・セイス)。眼含レーダー。盾情ハート」
目耳を覆う仮面。
そして禍々しいハートのネックレス。
空中に現れた仮面を、そしてネックレスを装着する亜実。
仮面が無呼吸呼器と結合し、一つの仮面となる。
すると仮面全体が脈動を始め、亜実の視界が全方位となる。
脈動の度に、左胸、そして背面から、大小無数のハートが水中の泡の様に放出され、空に向かって消えて行く。
飛んでくるトゲを認識した亜実。
だが、微動だにしない。
無数のハートが不規則に動き、アダムに向かって飛んでくるトゲを阻み、順次空に消えて行く。
「何だありゃ」
「ヤバそーかー?」
「当たりめーだ。無敵じゃねーかあんなもん。見てわからねーのかバカ」
セオドールとダーハムが距離を取る。
上空に現れた巨大な岩石が、亜実に向かって落ちて行く。




