ヴァリッジの立ち位置
ヴァリッジは、今日も今日とてブレブロ、ゴードン薬店の前にいた。
ゴードン薬店があって、その奥にアリスの住居がある。
そのさらに奥に、診療所。
〝悪童〟の塒のはずであるが、しかし、ジャン・ジャックは帰って来ないし、エディもどこかへ行ったままだ。
だから診療所は閉まったままで、ヴァリッジは、薬店の前で椅子に座って、夕方までダラダラと過ごす。
ヴァリッジは、奇しくも、ブレブロ移住の目的であった隠居状態にある。
望んでいたことであるはずだが、色んな強者に出会った今となっては、退屈でしょうがない。
「双剣のヴァリッジだ!かっこいい!」
「…触ってみるか小僧?俺の二本のダガー」
俺もヤキが回ったもんだぜ、とヴァリッジはひとりごちる。
子供に優しくするのは、貧民の英雄のイメージ作りのはずだった。
だが、いつしか、板についてしまった感がある。
そしてそれは、ブレブロに来てからというもの、加速した感がある。
道行く人の誰もが、ヴァリッジに笑いかけ、会釈し、寄って来てしまう。
双剣のヴァリッジといえば、ブレブロでは貧民に限らず、誰からも愛される存在になりつつある。
王都では〝悪童〟は、貧民以外には厄介者扱いされることも少なくはなかったが、ここブレブロでは、単純にヒーローだ。
アリスたちと一戦交え、その後、椅子を並べて、毎日ここで座っていたせいもあって、街の人間はヴァリッジに、アリスの盟友の様なイメージを持っていて、ヴァリッジはアリスに次ぐ英雄として支持されてしまっている。




