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卑劣のカプリス
カプリス、いや、炎の女神官ルレットが叫ぶ。
「ガイン!私は炎鎧を纏うまで動けない!君が彼女を足止めしてくれ!」
「応!」
立案に応じたガインがルレットの前に出た。
イオと対峙し、大剣を弓引く形で構える。
イオからは、嗤うルレットの顔が見える。
「直接干渉する権利、あなたにあるのかな?」
普段のカプリスの口調と違う。
まるで馬鹿にされている様にかんじたイオは、苛立ちと非難の気持ちを隠さない。
「卑劣ですわね、カプリス!」
「決めたのは私じゃないのだよ、イオ。相手の弱点を突かない戦いなどあるものか」
感情をぶつけてもどうにもならないし、カプリスの言うことは正しい。
ガインと接触すれば、その瞬間にイオは終わる。
通常、女神は、この世界の生物と直接関わる権利はないと、神に決められているのだ。
しかし、それにしても癪に障る。
念話で呼んだ彼が、来てくれるかどうかはわからない。
来ないならば、撤退するしかない。
「秘剣、風雷牙」
刀身から神気と電撃を撒き散らし、砂塵を巻き上げて、ガインが一歩踏み込んだ。
突風が、吹いた。




