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クマガイの原動力

アリスの強い思念は、念話となって服部、池中、高木、泥島、死んでいる穴倉、そして魂抜けて虚ろなクマガイに届いた。


しかしクマガイは、少女になったアリスの声を知らない。

故に、まどろみの中でその声を反芻し、少女のイメージを頭の中で作り上げて、暗い劣情を想像上の少女に叩きつける想像をする。


すると、色んな意味で元気になってくる。


そんなクマガイをアプリコットが、汚いものを見る様な目、いや、汚いものを見る目で見つめていた。


「気色の悪い男じゃ」


その顔を、クマガイが虚ろな目で見る。


ベルティザで購入した馬車でゆっくりと根城に戻る一行は、ビクトー、アプリコット、イゴール、そしてクマガイである。


馬車の中で、虚ろな目ながら股間を硬くしてアプリコットを見つめるクマガイは、唯一異彩を放っている。


『犯してやる』


クマガイの暗い劣情は、魂を抜き取られてもやむことがない。

服部、池中、高木、カプリス、アプリコット。

そして先程の声の少女。

どいつもこいつも俺の女だ、との怒りが湧く。


怒りの対象は女たち。

だが、連想された有栖川付きの映像。


有栖川が机に座っていて、服部が有栖川の片方の太股に手を置き、その手の上にこめかみをつけている。

池中は椅子を持ってきて、本を片手に有栖川の傍らに座っている。

高木は、有栖川のすぐ向こうに立っていて、クマガイからは半身隠れて見えている。

カプリスが有栖川に背後からしなだれかかり、その豊満な肉体を押し付け、アプリコットが有栖川の空いているもう片方の膝の上に座っている。

そして女たちに群がられ、当然の様な顔をする有栖川。


非生産的なその悲しき妄想は、しかし、クマガイの肉体に黒くじめついた魂を新たに宿らせた。


『犯してやる!』


クマガイの目に光が戻り、あってもなくても変わらない思考力が戻った。

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