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ラスの報告
バンダーベルグは手を後ろで組み、靴音を大きくたてながら、威風堂々と歩く。
大臣ブリスコが気まずそうに、バンダーベルグに並んだ。
立場ではブリスコが上のはずだが、フードを被って俯き加減で歩くブリスコは、どう見ても従者の魔法使いにしか見えない。
「地下牢の二人が、ギルバーティの本体を持ち帰ったかもしれない」
ブリスコの言葉は、耳を疑う内容だった。
堪らず聞き返すバンダーベルグは、渋い表情でブリスコを睨む。
「どういうことだ、ブリスコ殿」
「…」
「答えられよ」
バンダーベルグの問いに黙り込むブリスコ。
後方からついてきていたラスは、ウェーブがかかった髪をかきあげ、頭頂部辺りで握り込む。
手を離すと、後頭部から頬、顎へと、手を滑らせて順に撫でていく。
顎の無精髭を撫で、あくびをしながら代わりに進言するラス。
「ふわぁ、っと、すみません。地下牢の二人が一身上の都合とか言って、契約を一方的に解除して姿を消しました。あとは侵入者ですかね」




