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地下牢のタツキ

隣国にとって、ザハーク教団は忌むべき存在として憎まれていた。

しかも、大臣がザハーク教団と関わっているという疑惑があり、騎士でもある姫が直々に調査に赴いたということらしかった。

幾度もの激闘の末、タツキは姫の説得に応じ、姫の騎士となった。

師の行方、そして転移魔法を探す協力をしてもらうという条件をもって、表向きは無頼の冒険者、裏ではザハーク教団の用心棒という立場のままで。

そしてこのロウ・リ・ネイティス王国へ赴き、大臣と癒着しているという情報がある、ベルティザの市長について調べているうちに、ベルティザが行っている犯罪を知った。

それは、ザハーク教団の支援と、魔王の亡骸の所持だった。


今回タツキは、魔王の亡骸の発見と報告が目的で、ベルティザに潜入している。

そして、ベルティザに非公式に来ている大臣を見つけたのだった。

大臣は、魔王と融合し力を得る為に、この地を訪れたのだと知ったタツキは、魔王の亡骸を塵と化す為に、この地下迷宮に潜ったのだ。


「魔王のところへは、絶対に行かせない!」

「こちらの思惑を完全に読んで、まさかこんな強者を配置しているとはな」


タツキは吸血鬼たちを、大臣の手下だと誤認識していた。

そして吸血鬼はタツキたちを、ベルティザの防衛戦力だと誤認識していた。

同じ目的を持つ者同士であるはずなのに。

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