地下牢のタツキ
通路の先には、広間があり、そこには、二人の剣闘士が待っていた。
「〝地下牢〟の二人か!最悪だ!」
イゴールがビクトーに手を伸ばす。
「急げビクトー!奴らは強い!」
イゴールは、ベルティザに来て初めて、武器を使うつもりだ。
その本気の様子を見て、ビクトーは急ぎ亜空間から巨斧を取り出した。
手にしたイゴールが斧を振る。
火花が散った。
「奴の手先か吸血鬼!魔王の亡骸は渡さない!」
「そうだ!絶対にやらせねえよ!」
地下牢の二人、フクシマタツキとユキシマゴウは有名な冒険者だ。
二人とも黒髪。
剣士フクシマ。
そして闘士ユキシマ。
その二人が、一瞬で距離を詰め、イゴールに殺到していた。
「ユキシマ!そっちの悪魔の牽制を頼む!」
「おう!あのオッサンは!?人間みたいだぜ!?」
二人の視界にクマガイが入る。
「秋●康さん!?有名人だ!奴ら、血を吸う気なんだ!助けないと!」
「あの秋●康!?転移して来たってわけか!わかった!任せとけ!」
二人は、クマガイを有名人と勘違いした。
喋りながらも、吸血鬼たちを圧倒し、的確にプレッシャーを与えてゆく。
「噂には聞いていたが、若い!しかもこいつら!」
「超人ですかッ」
まだ元服(十五歳)前であろう、あどけない少年二人だが、その強さ、速さ、鋭さは警戒するに値する。
いや、その程度では生ぬるい。
全力であたらねば、殺されるのはビクトーたちだ。
少年闘士ユキシマが、クマガイを抱え下がろうとするが、ビクトーが追わんとする。
すると少年剣士フクシマが割って入り、剣で居合いの構えをとった。
「アラン一刀流奥義」
「「何ッ」」
「血走りッッ」




