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アリス乱入
閃光が走った。
ヴァリッジが駆けた。
右手には魔法のジャンビーヤ。
「真銀変!」
全身をミスリル化させ、強固な鎧となって受けて立つ構えの泥島。
だが、泥島に向けられたヴァリッジのジャンビーヤの一撃は、泥島には届かなかった。
「こっ怖あ…」
青ざめた泥島。
切っ先は眼前に迫っており、刀身から出る靄が、ゴーレムとなった泥島の顔に迫る。
触れるか触れないかの距離にまで迫った靄に、泥島は顔を背けた。
ヴァリッジは、憎しみ宿る強い眼光で、ジャンビーヤを止めた相手の目を見る。
赤い双眸は闘志に満ちて、口は笑みに歪んでいる。
割って入ったアリスは、両の掌による白刃取りで、ジャンビーヤを止めていた。
「調子に乗ってんじゃねぇぞ。俺がヒロインだわ」
「…ふざけやがって。魔人、てめえは後だと思ってたが、いいぜ、先にやってやる。ドロシペイン、てめえはこいつの後だ」
「やだ…俺完全にロックオンされてる…!双剣のヴァリッジ、死ねばいいのに…!」
「殺してみろよドロシペイン!なあ!?」
「怖い怖い怖い怖い怖い俺無理無理無理無理無理!」




