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神殿の廊下

神殿の、大理石の白く美しい廊下をエイミーが進む。真っ直ぐ進まず、遺骨受け取りの貼り紙に従って右に分岐している小路に入ると小部屋があった。小部屋といっても扉はなく、簡素な机を台にして、骨壺がひとつ置いてある。壺の口は羊皮紙で閉蓋されていて、蔓紐でぐるぐると巻かれ縛られていて、貼られた紙には、エイミーの夫の名前が書かれている。


エイミーは歯噛みする。神殿は夫の遺骨にこんな仕打ちをするのか、と。夫を神殿で弔わないのは経済的な理由ではない。だが、拝金主義の神殿は、神殿を使わず精霊術士に依頼するつもりのエイミーをメリットなしの貧乏人と判断したのだろう。神殿で結婚式を挙げた時の、うざったい程の厚待遇と違い過ぎる。遺骨の安置場所への案内すらない露骨さが癪に障る。


壺の中には遺骨と魂が封じられている。この中に、先日逝去したばかりの夫が入っているというのに、何もない小部屋に無造作に置かれているというのは、家族なら多少なりとも気持ちが波打つものだ。無論、エイミーも、神殿に対して暗い憎しみが湧く。しかし、秘術により夫を復活させるという悲願が叶うのはもうすぐだ。壺を胸に抱き、神殿の廊下を歩くエイミーの暗い気持ちは、悲願への沸き立つ気持ちに塗り潰された。

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