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伝承の謎

「何で?何で泥島くたばったん!?ワケがわからんわ!」

「俺もよく知らないけどさああ、ゴーレムは体のどこかに古代の魔法文字が刻まれてるんだよなああ。それを…」


アリスとエディの会話を拾ったルリが、静かに語り始める。


「ゴーレムは、emeth(真理)という文字を、体のどこかに刻む決まりがあるとされているわ。

そして頭文字のeを削り取りmeth(死)とすると、土にかえってしまうのよ」

「まじかよ。ゴーレムってチョロいんじゃねぇかよ!泥島~!故人は生前、むっつりスケベでした~(泣)」

「でもね、これは、ユダヤの秘術カバラの書に記されてるゴーレムについての決まり。この方法がこの世界で通用するということは、私たちが前にいた世界とこの世界は、何らかの繋がりがあるってことよ」

「んぉ?そりゃそうだわ。じゃなきゃ俺たち転生しとらんわ」

「…十一世紀には、ゴーレムについての逸話はあったとされているわ。それはユダヤ人迫害と重なる。…大地王は人間の味方なのよね?」

「…」


大地王の伝承をよく覚えていないアリスは黙る。

───代わりに。


「…何が言いたい、池中」


辛うじて生きている泥島が、土の中からその姿を現し、会話を継いだ。

ゴーレムが崩れる瞬間、危険を察知した泥島は、崩壊とほぼ同時に、泥兵変(ゴーレム・チェンジ)を解除していたのだ。

まさか、泥島が生きているとは思わなかったルリは、警戒から硬い声で答える。


「…この世界にある大地王の伝承は、地球の話の可能性があるってことよ。つまり…」

「互換性を感じる、ってわけか」

「そう。木や草にしたって、共通のものが多過ぎるわ」


アリスが小刻みに頷く。


「この世界から、あっちに戻れる可能性もあるってわけか」

「むしろ、可能性がないと考える方が不自然だわ。でも、もう一つ、絶望的な仮説も成り立つ気がするわ。」

「何の話をしてるんだああ?」

「ここが遠い未来の地球という可能性もあるのよ」

「ないわー」

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