アリス vs エディ
「くしゅん!誰か俺のことでも考えてるのかああ?」
エディはアリスをちらちらと何度も見る。
「思われくしゃみだなああああ」
普段のアリスならば、この世界の風習などに興味を持ったかもしれない。
しかし、今は違った。
目を見開き、一点を睨んでいる。
それは、泥島とルリの戦いではない。
アリスが見るは、エディだった。
エディの小さなくしゃみは、アリスには意外なものであった。
アリスは、吐きもすれば野糞だってするし、くしゃみだって、おっさんの様な「びぇっくしょい!うーいちくしょーい」だ。
外見が中性的なエディならば、自分と同じ様な号砲を放つものだと、アリスは何故か信じて疑わなかったのだ。
だが、今のは何だ。
「エディこの野郎。お前、俺を差し置いて、何可愛い子ぶってんだコラ」
言い様のない怒りが、アリスの心に広がってゆく。
「ヒロインは俺だ、この野郎」
エディは状況が飲み込めず、目を泳がせる。
「ななな、何か気に障ることしてしまったかああ!?」
「あ…?コラ…。バックレてんじゃねぇぞ…」
「ごめんんんんん、謝るから教えてくれれれれれ」
ルリが泥島の周りを飛び回る。
何かを探している様だと、エディは気付く。
「おいいいい、あのスライム、探してないかああああ!?ゴーレムの弱点ををををを、知ってるんじゃないかああああ!?」
「出たオイ、ごまかすやつ…!俺の怒りゲージがMAXだわ」
話の腰を折られたアリスは、額に青筋を立て、鬼の形相だ。
「お、俺は謝るって言ってるのにさああ」
「何だこの野郎、その態度。やんのかゴミクズが。あぁ?」
何故かここに、もうひとつの戦いが勃発した。




