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土弾(バレット)
警戒するルリは、水を噴射して浮遊している。
本音では、水の噴射をやめ、降りてしまいたい。
だが、泥島は大地王だ、という何となくの先入観がルリにはあるし、土魔法を使いそうなイメージがあったし、事実、泥島は土魔法を使い、自らをゴーレム化した。
ルリは土魔法を見たことはなかったが、何となく地面全体が泥島の領域の様な気がしていたのだった。
それに、闇悪夢の、地から這い出る闇の手と、屠られたゴブリンたちの残骸が、地面に降りることに対する抵抗感を、より抱かせた。
「降りては来ないか~…」
泥島は、少し厄介だな、と思った。
魔法教示によると、ゴーレムは近接攻撃手段しか持たない、とある。
だが。
「あんまり自信はないけど、真似してやってみますかね~」
攻撃手段がないなら、作り出せばいい。
泥島は握った両拳を開き、指を揃えて、ルリに向ける。
「土弾」
十指から放たれる凶弾がルリを襲う。
「ダメージ、与えられたらいいですけどね~」




