乾坤一擲
「正解みたいね。あんたがMPをHPに置き換えたタイミングで角を壊せば、あんたのMPが空の瞬間は出来るわけよね。その時が勝負よ!シュート!」
水圧線で、硬質化した触手を切り刻むルリ。
だが、穴倉も、触手を何層にも重ね、外層が切られた瞬間に引っ込め、自己再生で瞬時に回復しながら、奥の層に配置する。
「考えたわね」
「…お前こそ考えたな。これなら俺は動けない。でも水がいつまで続く?角を守れば無限に続く俺の自己再生と違って、お前の水は有限だ。違うか?」
一呼吸置いて、ルリが答える。
「水源がなければ、そうね」
「!」
ルリの体は、井戸、そして村の外の川まで伸びている。
「気付いたみたいね。私は水だけでも何日だってやってやるわよ。それに」
ルリが全身から霧を噴射する。
「この濃霧で、あんた私の場所がわかる?」
「熱線砲を闇雲に撃っても意味がないか。…でも」
水圧線による包囲は続いているものの、攻撃が止んでいる。
穴倉は穴を掘る。
「俺が視界を奪われた様に、今、お前も俺が見えない。だから攻撃が止んだし、こうやって俺は逃げおおせる」
だが、すぐに掘削は頓挫する。
「何だこれは」
地中には、巨大な虹色の掌が埋まっている。
凄まじい量の水を圧縮したであろう、とてつもなく硬い虹色の掌が。
そして浮上する掌。
周りには水圧線が張り巡らされていて、逃げ場はない。
「角?そんなもん、あんたの全身ごと壊してやるわ」
そして穴倉の上空からは。
「くそおおお池中あああ!!混血!!」
熱線砲を撃たんと、角からの魔力の収束を開始する穴倉。
上空からは、ルリの体から伸びた、細長い腕の先についた、超特大の虹色の拳が落ちてくる。
「乾坤一擲!!スライムパンチ!!!」
振り下ろされる拳。
ひしゃげる、穴倉の体。
舞い上がる泥土。
「HP0。言った通り、あんたを叩き潰してやったわよ」




