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スライムクイーンの涙
私、池中瑠璃は八本の蜘蛛足の形状を作り出した。
そしてせわしなく動かし、駆ける。
その機動力はなかなかのもので、スライムの通常の鈍い動きとは全くの別物だ。
飛んで来る風の刃をかわす度に、周りのスライムたちから感嘆の声があがる。
私は、アリスを睨む。
アリスは、スライムたちを殺した。
きっと何か理由はあったのだろう。
しかし、邪魔だから殺した、との言葉は私を傷つけた。
何故なら、私もスライムだ。
ならば、私が敵意を向ければ、アリスは、彼らと同じ様に私を殺すのか?
かくして、水の凶弾を放った私は、今、アリスと戦っている。
取り返しのつかないことになってしまった。
本当は、いちばん戦いたくない相手なのに。
アリスが眉をひそめながら、私を睨む。
…泣きたい。
いや、既に私は泣いていた。




