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心は人間でござる
シャサは点穴針を構える。
右手だけでなく、左手にも。
それに一本ずつではなく、片手に三本ずつ。
計六本の針が握られている。
点穴針は小太刀ほどの長さがあり、意外に大きい。
魔力を込めた特別製の針だ。
元は相手の経絡を突く暗殺用武器であるが、シャサが有名になるにつれ、明るみに出てしまった。
今や"混沌のシャサ"の武器と言えば針というのは有名だ。
「俺はお前を殺すぜ」
「躊躇ないでござるな。 さすが忍でござる」
「ほざけバケモン。 てめえだって昨日の友は今日の敵で生きて来たはずだろ、バケモンなんだからよ」
「!」
シャサの言葉があずみの胸に突き刺さる。
否定は出来ない。
だがこうも思う。
「拙者が戦う理由はバケモンだからではないでござる。 拙者の心は人間でござる」
これはあずみの本音といえた。
だが当然、シャサには通じない。




