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バケモン
「確かにそうかもしれんでござるな」
あずみは寂しげに視線を流した。
その際、シャサは視界から外れる。
戦いのさ中に最もしてはならない愚行と言えた。
だがシャサはただあずみを見ているだけ。
襲撃にはもってこいの隙なのに、だ。
あずみはそのまま話し始める。
里の忍たちは攻めることもせず、ただその話に傾聴している。
「拙者なんぞ、里の人たちにしたら、得体の知れないバケモンでござるよな」
「ああそうさ、てめえは」
「でも拙者は」
「あ?」
「でも拙者は、全ての人がそうだったとは思わんでござるよ。 そして、そんな人たちも人身売買なんぞに手を染めていたことが、とても悲しく、寂しいんでござる。 果たして拙者だけがバケモンでござるかな……」
「てめえ……!」




