俺の戦いでもあるんですよ
レインの表情は締まっていて泥島を睨んでいる。
睨み返す泥島の全身は白色に煌めく金属体となっていて、その体全体から魔力が吹き出ていた。
ユウは小声でぼそりと呟く。
「任せていいのかな」
それは泥島に向けた言葉だが、小声ゆえに泥島は聞こえていない。
だが頼まれずとも泥島はレインと戦うつもりだ。
「俺はお前を倒しますよ」
とは言うものの、自信があるわけではない。
泥島はレインの力の全貌はいまだに分からないし、自分の強さがいか程なのかも分かっていないからだ。
だが、不安もなかった。
泥島は何だかんだとぼやきながらも、誰かの為に戦ってきた。
いつも、人の為に戦ってきた。
色んな人を想い、背負って戦ってきた。
そして泥島は今も人の為に戦っている。
だが今回はそれだけではなくなりつつある。
一度レインから逃げ出したことを思い浮かべる泥島。
今思えばしょうもない理由だった。
黒貨を汚物と勘違いして逃げるなど、思い出したくもないしょうもなさだ。
だが、しょうもないことが理由で逃げたならば、向かい合って捻り潰せばいい。
そう思う泥島の闘志に満ちた顔をユウは見た。
「俺の戦いでもあるんですよ、今回は」
気合いに満ちた泥島の言葉。
その声はユウより小さいはず。
なのにユウの耳には、妙に大きい様に聞こえた。




