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不調
「なーんか調子悪いんだよね」
そう言ってユウは腰を下ろした。
カワベを倒せはしたが、殺してはいない。
いや、殺せていない。
竜をも屠る超人勇者が、超人の領域にギリギリ踏み込んだカワベに対してこれは、明らかにおかしい。
(魂を高めて戦闘力を跳ね上げるEXCEEDを使ってこの弱さとは……! 私の身に何が起きている……?)
浮かない顔のユウ。
普段のユウならば、そもそもEXCEEDなど使用しなくても、この里を全滅させるぐらいは造作もない。
しかしそうはならず、出血と疲労で座り込んでしまってすらいる。
こんなことは初めてだ。
(原因を突き止めねばならないな。 ……魂を高めるはずのEXCEEDの不調。 即ち、私の魂が弱くなっているのか……?)
この予想は当たっている。
今、ユウの魂は弱体化しているのだ。
しかし今は誰にも言えない。
「よっこらせっと」
ダメージも疲労も回復してはいないがユウは立った。
目的がまだ達成されていないからだ。




