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よし!でござる
だがレインには避ける様子がない。
土弾で蜂の巣になるかと思いきや、飛来するのはオーラをまとった黒い硬貨。
跳ねる様に動き回って土の弾丸をはじき、レインの体には一発たりとも撃ち込ませない。
レインの顔は幾分締まった表情。
「避けるまでもなかったみたいですね」
「ああ、そうみたいですね!」
悠然と言い放ったレインに対し、泥島は声を荒げた。
まるでレインが泥島を余裕で捌いているかの様に見え、忍たちの士気を上げる。
「よし、俺たちも!」
忍のうちの一人がそう叫んだ。
レインと泥島の戦いに参戦するつもりだ。
言葉には出さないが、泥島は内心舌打ちする。
人海戦術ですり潰す戦法で来られたら邪魔極まりない。
泥島が吼える。
「よしじゃないって!」
その声には苛立ちが確かに含有されていた。
泥島は敵が誰であろうと容赦なく倒すつもりだったが、若干の焦りが生まれ始めている。
思った以上にレインが厄介だ。
だが。
「よし!でござる」
鋭い闇風が右へ左へ駆け抜ける。
忍たちを蹴散らしながら、自身は一撃たりとも攻撃を食らわず、そしてレインにも襲いかかった。




