ある種の蔑視に近い
挑発に乗らない泥島は無表情に近い。
拳を退き、蹴りを繰り出すがレインにかわされた。
レインはすぐさま後退して距離を取る。
とはいえ遠距離と言える様な距離ではない。
それは以前の戦いでの、泥島の土弾の乱射が原因だった。
(距離を取りすぎると皆さんが撃たれかねませんからね)
レインとしては、多人数が集結しているこの場において、土弾の乱射をされるのは避けたい。
忍の里の人間でない自分の戦いで忍の犠牲者が出れば、反感を買うのは必至だ。
そうなれば、シャサたちとの衝突は避けられない。
レインの強さで均衡を保っていた“混沌”は瓦解し解散するだろう。
それは避けたいとレインは思う。
普段のレインは傲慢だ。
シャサたちを力で押さえつけてきた。
そこに何ら後ろめたい感情はない。
これまでもこれからも、力で押さえつけるつもりだ。
だが、だからこそ、シャサたちの前で取り返しのつかない失態は犯したくない。
何故ならばシャサたちは忍で、己の任務を優先するイメージを持たれがちだ。
故に同胞を見殺しにしても当たり前だと見られるだろう。
レインも、シャサたちはそういう者たちだと思っている。
忍は、暗部を担う汚れた工作員だと思っている。
それはある種の蔑視に近い。
レインはシャサたちを下に見ているのだ。




