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抵抗させてもらうでござる
その言葉に真っ先に不快感をあらわにしたのはシャサだった。
即座にあずみに向けて怒号を飛ばす。
「てめえ、あずみ! マジで裏切るつもりかコラ! ならば殺す!」
ストレートな言はシャサの性格をよく表している。
あまりにも分かりやすい戦意があずみの身体に突き刺さり、緊張した空気が流れた。
「殺されたくはないでござるから、拙者、抵抗させてもらうでござる」
そう言いながらクナイを構えるあずみ。
泥島は心配してあずみに視線を送ったが、あずみの目に迷いの様なものは見えなかった。
(大丈夫そう……か……?)
あずみの居場所である忍の里にて、あずみに忍たちを裏切らせる格好になったことが泥島は心配だったのだ。
(俺だったらこんな、村単位で敵になったらさ、泣いちゃうかもしれませんよ……)
だが、泥島が見るあずみの顔は、しっかりとシャサを見ていて、弱々しいところがない。
忍たちを相手に一戦交える覚悟が出来ているのだろう。
そう認識した泥島は、レインに視線を戻す。




