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油断はない
だが、それを誰にも知られてはいけない。
“混沌”のエースであり、名門ウインターウッド家の嫡男なのだから。
レインがなすべきことは。
「超人勇者ユウ、謎のゴーレム、子どもたち、裏切り者のメイド……。 この全員を俺一人でやるのは流石に難しいかも知れませんね」
なすべきことは、全員を一人で倒すことではない。
あえて敵の存在を口に出し、この場の戦いの交通整理をすることが、この言の目的である。
今、“混沌”は最大のピンチを迎えている。
だが、だからこそ結束出来る。
分担出来る。
……ここでカワベが動き出した。
「不十分じゃが、さて、わしの見立てでは……負けんわ! 来い小娘!」
ユウを睨んで相手として指名だ。
ユウも応じるつもりでいる。
「じゃあ続きやろうか」
次にエタースはタツキとゴウと睨み合い、不満そうな声でタツキとゴウを下に見る言葉を吐く。
「俺は結局ガキのお守りかよ」
言葉は不満そうだが、引き締まった
表情。
油断はないと言える。




