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口が減らない奴
だが斬首を狙った一撃は、レインの掌に阻まれた。
いや、違う。
ユウの剣はレインの掌には触れていない。
「生意気だな、ウインターウッドの若造」
そういうユウの方が年齢は下だろう。
体格でも大いに劣っている。
だが、ひとたび対峙すれば、ユウの実力はレインを寄せ付けない程に強い。
レインもそれを理解している。
だが、だからといって焦燥の顔は見せない。
涼しげに目を細めながら、受け止めた剣を押す。
この時、他の者たちは、レインの掌とユウの剣の間に浮いている複数の黒貨を視認した。
レインは黒貨に魔力を流して掌の前に展開して盾にし、その数をもってユウの剣を阻んだのだ。
「若造はあなたの方でしょう」
「口が減らない奴」
「あなたこそ」
ユウと互角にやり合っているかの様に見えるレインの言葉に、周りの忍たちの士気が上がる。
だがレインは全力に近い。
涼しい顔とは裏腹に、必死にユウを受け止めているのだ。




