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腹が減ってて調子が出ないな

 カワベの立ち姿は洗練されていて、丸みを帯びた石の様な滑らかさがあった。

 忍の里の長にして老練な現役の忍であり、その実力は衰えを知らないというのが定説だ。

 ユウは一挙手一投足を捉えるつもりで、柔らかく脱力した。

 油断はない。

 ユウの感覚が研ぎ澄まされ、場にいる全員の筋肉の(きし)みさえ聞こえる様だ。


(二割も力を出せば充分だろうが……)


「三割だ」


 ユウの言葉に、(しのび)全員の顔が怒りと悔しさに歪んだ。

 超人勇者ユウが別次元の強さであることは誰もが知っている。

 だからこそ、対峙しているカワベに向けた“三割”という言葉が何を指しているか分かる。

 自分たちを育ててくれた恩人であり師でもあるカワベがコケにされたのだ。

 真っ先に動いたのはシャサ。


「ナメるんじゃねえ!!」


 それはユウの予想を超えた速さだった。

 一戦交えた時よりも速い。

 点穴針で突くシャサは、疲労困憊の状態にあるが、体が軽いとかんじた。

 シャサの人生の中で最も速い動きだ。

 だが。


「!?」


 ユウが消えた。

 誰もがユウの動きを目で追えずにいた。

 その瞬間、金属が強くぶつかり合った音が響いた。

 シャサが気付き振り向いた時には、レインの黒貨がユウの剣とぶつかったまま空中で静止していた。

 カワベが距離を取ると同時に、黒貨は真っ二つとなり、地に落ちた。

 忍たちがカワベとユウの間に入り、人海戦の構えを見せる。

 ユウはため息をつき、誰に言うでもなく、嫌そうな顔で呟いた。


「腹が減ってて調子が出ないな」

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